ロイファーはさあどうしようと近くにある瓦礫を見つめる。
崩れた時によけきれなかったのか誰かの手が見える。
可哀想にとも思わずかといって黒牙會の人間だったらイイなあとも思わない。
ただ自分の主が無事かどうかだけ、ひどく気になった。

(でもここで立ち止まってても仕方ありまセんねぇ)

どうしようかなあと呟けば背後から殺気。
素早くその場から離れ殺気が放てれたところへと目線を向ける。

「なんやぁ、避けんでええものを」

にっこりと笑いながら両手に挟んだ針を構える女がいた。
女は長い黒髪をバラバラに切り揃えニコニコと気色の悪い笑みを浮かべていた。

「黒牙會の方でシょうか?」
「あらあら、そんなん気にせんでええやろう?」
「いえ、ですがーーーいやそうでありまスね。
 どちらにせよ死んでしまえば誰が誰に殺サれようと、関係ありまセんね」

話がはやくてえぇなあと女は笑えばさあ殺し合いすんでぇ、とねっとりとした声色で言い放った。
ロイファーはやれやれ血気盛んなことで困るでありまスなぁと首を横に降ってナイフを構える。
血気盛んなのはどちらだろうか。

最初に動いたのはロイファーだった。
腰を低くして足に力を貯めて思いっきり放つ。
そして勿論狙いは女の首だ。
女はおお、こわと笑いながらスレスレでそれを避けて針を投げる。
針はロイファーを刺すことなく地面に突き刺さり簡単に折れない硬さを誇るとロイファーはみた。

「自分、目に包帯巻いてるんとちゃう?」
「残念ながらこの包帯は私の視覚を奪うものではありまセんので」

ロイファーは包帯に手を添える。
そもそも目に包帯を巻いているのは目の周辺が脆く、
少しの攻撃を掠っただけでもすぐに崩壊してしまうからだ。
わざわざ弱点に目印をつけているようなものだが、
目が見えないと油断をしてくれる輩がいるので結果オーライか。

「フーンまあええわ。楽しめれば自分満足やし」

女はぶんぶんと腕をまわす。
ロイファーはこの戦闘狂をどうしようかと思えば少し暑さを感じてきた。
少し考えてきっと火災でも起きてるのだろうと考えた。(といっても昔こういうことがあったからきっとそうだろうと思っているわけで経験がなければ暖房でもついてるんじゃないかと考えそうだが)

はやく主の元にもどりたいなあと思いつつロイファーは再び戦闘体制をとった。




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