さて、どうしたものか。
荷物のほうはどうせ涅槃のクローンのやつらが運んでくれるだろう。
ならば、なにもすればいいのか、暇である。
(僕にできることは適当に椿組の相手かなあ)
ふぁ、と本日何回目の欠伸をかみ殺す。
港を見渡せばある程度の人が見える。その中にドンパチやってる塊を見つける。
研究員のほうが数は多いが、なんせヤツらはどちらかというと研究をしているのだから
戦闘には向いていないだろう、しかも相手は二人でかつ女。
(ナメてかかるなよクズ共、女だろうが敵は椿組なんだからある程度はできるっての)
やれやれと首を振れば顔を触る。
結局研究所内には布は見つからなかった。
ごみとして処理されてしまったのだろうか
(布の替えはもうないから、どうしよう今度買いに行くか)
あー大変大変と呟きながら塊に近づく。
「Guten tag.」
そう呟いて女の近くへ行き蹴りを入れる。
それをすれすれで避ける女に対して、ひゅう、と口笛を思わず吹く。
僕の一撃をかわすとは思いもしなかったわけで、やはりできるやつだ。
「……トメニア語!」
「へぇ、お前わかるのか」
ニヤりと笑うと背後から日傘。
それを受け止めると確かな重さを感じられる。
「おじょーさん、こんな重いものを持ってどうかしたんだい?ってアイツならいいそうだね」
「チッ」
喫茶店にいるであろう昔の敵呼ぶべきか腐れ縁と呼ぶべきかわからない男を思い出した。
あまり気分はいいものではないが。
髪の毛の長い女は日傘から手をハナシ距離をとる。
その判断はまあよいものかと思えば敵に武器をとられたと思えばよい状況ではないだろう。
「ふーん。鉄柱かコレ、面白いものを持っているね
「返して」
「それを敵にいう?まあ僕は別にいいんだけどさこんなのとってったいらないし」
女に日傘を投げればそれはしっかりと地に突き刺さりすぐには取れない状況に。
そうして僕はトメニアの人間へと向く。
「あんたはなんでここにいんのさ」
そう笑いながら。
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