最初はただ、親戚に面白そうな人だよ、と言われただけだった。
だけどもこうも、ここまで彼が気になるとは思ってもいなかった。
『……よお、今起きたか』
(うるさい黙れクソ神)
先ほどまで何をやっていたかと思いだそうとすれば
簡単に思い出せてそういえば彼を追っていたかと納得する。
これで倒れるのは何回目だろうか。
自分は哀しくなるほどに体力がなく、よく転ぶ。
こういうときだけ自分の中にいくクソ神ことロキを
うらやましい(彼奴は私と正反対だったりする)と思う。
体力がないくせに尾行など行うからか、途中で気を失ってしまったりする。
その間ロキが体を使えばいいのだがこのクソ神はそれをする気はなく、
毎回彼が運んでくれるのをニヤニヤしながら見ているらしいのだ。
全く持って気持ち悪い。
『俺を気持ち悪いとかいうんじゃねーよ』
(事実をいったまでだから)
まったくこのクソ神はうるさい。
起き上がってみれば今日も私の上には一枚のシーツがかけてあり、
また彼がかけておいてくれたのかと思うと毎度ご苦労さまとおもう。
ほんの少し温かみを感じたのだから、きっと彼は少し前までここにいてくれたのだろうか。
この嬉しさに戸惑いを隠せないが、
この気持ちはどこに置いた方がいいのかわからなくなってしまった。
ましてやこの嬉しさに何かほかの者も混ざっているのではないか。
「たかが呪いの類なのに……」
こんな気持ちを持っていていいものだろうか。
そんな呟きはロキにしか聞こえなかった。
===============
案内人さん(煮芋さん宅)
お借りしました。
戻る