もし、もしもの話だ。

俺が指名手配犯にならないで、旅団を立ち上げないで、

あのまま特別高等警察秘密情報課に身を置いていたなら。




今傍らで寝ている少女とは出会うことはなかったのだろうか――――?







『廻った世界‐1』



某月某日。
本日も秘密情報課は元気也。
どっかの百鬼と四楓院の娘は相変わらず休憩中は幸せオーラを放っている。
そんな幸せとは無縁な俺こと神澤窃哉は眼帯などしておらず今日は古傷をそのまま晒している。

「あ、俺ちょっと出てくるわ」
「はーいいってらっしゃーい」

一人身仲間であるノルニルは幸せオーラから逃げやがってという顔を
俺に向けながらも今日がどういう日か知ってか知らずかここから送り出す。



今日は、俺の父親が死んだ日だ。







病気とかではなく、殺人だった。
殺人現場に居合わせた俺は危うく犯人に仕立て上げられそうになったが
母親(現在は現役を退役して喫茶店で働いている)のお蔭でなんとか犯人にはならなかった。
もしも母親まで殺されていたら俺はここにはいないであろう。

まあその殺人犯はなんとも身軽で未だつかまっていない。
指名手配になってるけれども、どうもあの男はつかまらない気がした。







そんなことはさておき。
父親が死んだ日、というのだから行うのは墓参りだろう。
生憎今日俺だけは(何故かわからないが)仕事が入っており、
弟の黎実(一課に所属しているアホだ)と
妹の洸(一時期特高入るとか言ってたけど全力て止めさせて今は駅員だ)は休みをとっている。

三課にいる須田彼方(我が家の居候である)にざまあみろって顔されたからとりあえず庭に埋めてきた。


墓の前にくれば自然と報告内容はなんだけっかな?と脳内を整理する。
やけに風が心地よい。

墓には綺麗で新しい花が添えられており、黎実たちは先に来たのか、と
少しさびしい気持ちがあったりする。


線香をあげて手を合わせて親父、元気か?といつもどおり報告を済ませるのだった。








報告を済ませると、俺は適当に裏道をぶらぶらと歩く。
別に仕事場に戻ってもいいのだが、昼食を食べるのを忘れていたため
適当に飯を済ませることにする。
別に仕事したくないわけではない。


表通りは人が多くて自分は好まない。
裏道でふらふら人目につかないところを歩いている方が好きだと前黎実にいったら
まるで人の目線を避けている犯罪者のようだと笑われた記憶が新しい。

(別世界で案外犯罪者やってそうだなー)

と、俺は俺なりにそう思ってたりするのだが。


ふと目についた一人の女子生徒と男子生徒。
服装からして、天照学院だろうか?
若者の恋路を邪魔するわけにもいかないし、俺は物陰に隠れて二人を観察する。

(……いや、案外そうでもなさそう、か)

女子生徒が男子生徒の手をつかんでニッコリ笑ったかというと
二人は姿を消した。

(能力者、ってやつか)

それにしても、テレポートかなにかか、それとも。





それが彼女との出会い。






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お借りしました。
女子生徒…宇佐美イヅナさん(渚さん宅)
秘密情報課…ノルニル・ニーアさん(公式)
     …百鬼永時さん(シギさん宅)
     …四楓院暦さん(雪音さん宅)




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