走りながらも鷹廣は考えていたことがある。
それは情報の漏洩だ。
何故、一体、どこから。
そんなことを考えていたわけだが、答えはすぐに見つかった。
(特高に、何かがいるな)
密輸を調べられる人間などそういるわけがない。
そこであげられるのが天照のMI6と呼ばれる特別高等警察秘密情報課。
あそこはなんでも、「票読み一つ誤らない」と恐れられる緻密さを持ち、
銭湯の冗談まで筒抜けになるとの噂がある。
そこまでは誰もが簡単にたどり着けるだろう。
ただ。
NECTERに不利益な情報をもたらす特高などいるのだろうか?
……ないとはいいきれない。
そんな中、ふと外をみてみると目にした見慣れない職員。
『東京人。これはまた』
そういった男は見覚えがあるが、東京人を連れている男はみたことがない。
はて、どこの所属だろうか。
距離はかなりあるため声は聞こえないが軍人となった時、叩き込まれた読唇術を駆使して、
彼らの会話を見てみるが、会話はそれくらいだったらしく(しかも鷹廣からでは見慣れない研究員の口が読みにくい)
立ち止まり思考。
そして男たちがいたほうへと歩く。
距離はまだある。気づかれない。
ならば。
彼を尾行でもしようか。
鷲の獲物
(気づかれない程度の距離を保て)(他の誰にも気づかれてはいけない)(焦ってはいけない)
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