D兄弟



時間の流れがとても早いと感じた。小さかった手がいつの間にかごつごつとしたいかにも男らしい手になり、のど仏も出てきて声変わりして、そして、世界はもっと広いと思った。
まだみぬ海の向こうにある数々の島、どんなことを待ちかまえているのか楽しみで仕方なかった。だけど、唯一の心配があった。
弟分であるルフィを三年間、一人にすることだ。幼い年で三年間、一人にさせとくのは少し気が引けた。少し心配すぎているかもしれない。

「ルフィ、そろそろおれは先に海をでる」
「おー。そんなに時間がたったのか」
「ああ。おれの誕生日までもうすぐだ」
「まじかー」

じみじみと昔を懐かしはじめるエースと反対に、ルフィは相変わらずさっき取ったワニの肉を食べていた。思ったより反応が薄いことにエースは安心するところが、逆に思いもない不安が襲ってきた。心を落ち着かせるために少し酒を飲んでみるが、手は震えたままだった。どうしてこうなったのかは理由があったからだ。

「おれは寂しいよ。なあ、ルフィ」
「うん、寂しいぞ。でも、海賊になるんだろ!良かったな!!おれも早く海に出たいなー」
「あ、ああ。そだな」

もっと寂しいと言えよ。引き留めてくれよ。少しだけならいてやるから。おれと一緒に来いよ。溢れてくる思いがルフィの屈託のない笑顔によってかき消された。なんてちっぽけな感情なんて、弟分に見せるはずがなく押し殺していった。



∴例えば宇宙に比べて僕は
title/せぼね






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