黄瀬と黒子

僕の嫌いなものはうるさい犬です。
電話に数十件の受信やメール。
毎週、一回は必ず僕のところに来ていました。
そんなうるさい犬は僕のことを好いていました。明らかな態度ですぐに分かりました。
しかし、僕の嫌いなものはうるさい犬です。さらに、彼は僕と同じ性別をしています。まさか、彼のことを好きになるとでも?笑えない冗談です。
最初はさりげなく暴言を吐いたりした。
だけど、君は酷いとかまあとかで涙目になって、簡単に済ませるから、もっと大丈夫かと思いました。
頭が。

犬をいじめすぎると落ち込まれるのもあれ(人権的にも)なので、たまにマジバや家を誘って、アメを与えます。今回は家が近かったので、さりげなく誘いました。

君は精いっぱい喜んでくれました。
見ていると、僕も何故か自然と嬉しくなりました。ああ、これが飼い主の気分か。テツヤ二号と違う気持ちになります。
他愛もない話や世間話、バスケの話などいろいろと話しました。
少しのどが渇いたので、お茶でも飲みますか?と訪ねると答えはもちろん、飲みますだった。

お茶を出すと、ありがとうッスと。
渇いた喉をお茶で潤うと、

「黒子っち……、好き…だ…よ…」

お茶を吹きたくなった。だけど、耐えた。よくやった、僕と言いたかったところだが、そんな雰囲気ではない。

ちょっと待ってください。
君は何でそんな目をするんですか。
そんな目をした犬なんて、僕は全く知らない。知ろうとはしなかった。こんなことを知りたくなかった。
唇に生ぬるい感触をしたときは、あ、そうかと冷静に悟った。
うるさい犬は今、いないんだと。その時、寂しく思ってしまったのは、何故だろう。



僕の嫌いなものはうるさい犬でした。
今は、獰猛な犬が嫌いです。





∴隣の家のうるさい犬は死んだらしい
title/VIOLENCE.com
とんだすれ違い。





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