雨宮と松風


僕は同情と言うものが嫌いだった。十年に一人の天才が病気に関わるなんて不幸だ、可哀想だ、もったいないだ、どれも僕にはあまり心が一ミリとも響かなかった。
いや、響かなかったが、よけい心に深く深く傷ついた。

サッカーは大好きでただ、走り回ってやりたかったのに不自由な体を手に入れた僕は白い部屋で毎日過ごしていた。



(………サッカーやりたいなぁ…)



毎日に当たり前にいつも、それを浮かぶとやりたいことをやりたいのにやれない身体がどうしようもないのでまた、外を眺める。十年近くに見続けてきた光景に飽きないところが恨めしく悔しく思い続けていた。

僕は自由に走り回りたい。
自由にサッカーをしたい。
だけど、そんな願いをいくら願っても何にもなかった。全く進展なし。

昔、母さんが言っていた。神様は意地悪なの。太陽はサッカーがかなり上手なのは神様のおかげよ。でも、その代わりに悪い病気を与えたんだよ。と。

何だよ、それ。俺の今までにやってきたサッカーの練習は無駄なのか、と言いたかったが、その言葉を頭の隅においやる。だって、母さんがつらそうな顔をしていたから。




今は神様を信じるかは信じないかは自由だ。僕はどちらかというと信じない。
どんなに素敵な出会いでも僕にサッカーの自由を与えてでも僕にたくさんの幸せをもらってでも、神様を信じてやらない。何でって、


神様を信じるよりは君を信じたいからさ。


この出会いは偶然じゃない。僕は願ったんだ。昔から色々とたくさん。でも、神様はどれも叶えてくれなかった。なんて、ドケチで鬼畜な神様なんだろう。
君は僕の願いを叶うために僕の前に現れたんだってそう断言出来るよ。知らないけど君なら、僕の望んだ願いを叶えてくれるんだと信じていた。




友達になってくれるかい?


天馬くん。



(少年は願いました。自由になりたいと、)




∴神様より君を信じる





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