太陽には密かな楽しみがあった。
それは友達の天馬がお見舞いをしに来ること。それだけでも、太陽の心に乗っかかっていた何かが軽くなるのだ。
今、天馬がお見舞いに来て、太陽は嬉しそうにベッドから飛び上がり、はぐし、頬にちゅっちゅっとたくさんキスする。
天馬は恥ずかしそうに止めてよと言いながら、太陽からのキスを止めなかった。天馬は愛されているのは悪い気分じゃないけど、お返しと太陽の頬にキスした。
「くすぐったいんだから」
「ごめんごめん、つい。まぁ、若くていいじゃないんかな」
「太陽よりこっちが若いよ。それより、誰かに見られたらどうするんさ…」
天馬はやんわりと太陽にツッコミし、太陽はニヤリと笑い、へーぇ、誰も見ていないならいいんだ?と天馬をからかった。
天馬はばか!とからかわれたことに恥ずかしいとか色々な意味で怒る。あはっと笑う太陽は天馬をしずめるようにまた、頬にキスをする。
天馬はふてくされながら、許してしまうなぁと困ったように笑った。太陽と天馬の時間はこんなにも楽しくて、その時間は短いんだって、二人はとうに前から知っていた。
太陽はクスクスと笑い、天馬もまた、笑う。
だから、二人の少年は願った。
こんなに楽しい時間が続くなら、止まればいいのに、って。
∴止まれ、少年