青峰と火神



ぶすっといかにもふてくされている青峰が火神の部屋のドアの前に突っ立っていた。ガチャリ。
ドアが開ける音がしたとたん、青峰はすぐさまに自分の家みたいにずかずかと踏み込む。そんな青峰を見た火神は俺、何かした?と自分のやってきたことを見返りする。
だが、全く心当たりはなかった。いや、あった。
思い当たる部分があって、ため息する。
ぶっきらぼうにソファに滑り込んだ青峰は軋む音を無視して、

「かーがーみー」
「何?」
「また、フった」
「マジでか」

女をフった。と報告。火神はだろうなって思った。
そもそも、何故青峰が火神にわざわざそんな報告をしなければならないのか、その理由は青峰も火神も一度たりとも考えたことがなかった。
頭が弱い二人である。
火神はうん、と唸ってから、

「お前、何でフるんだよ…」
「いや、付き合って見たら、あ、無理だコレと思ってソッコーフった」
「そーかよ。あ、何か飲む?」
「あー、麦茶でいいわ」

キッチンに立っていた火神は青峰と自分の麦茶を用意する。青峰に麦茶を渡すと、感謝の言葉を貰うことになる。
火神も麦茶を一飲みして喉を潤う。

「しかし、あの子かわいかっただろ」
「うーん。お前がかわいいって言うから付き合ったのにダメだった」
「少し、相手のことを考えてやれよ。可哀想だろ」
「そんな優しさは時に自分への凶器と変わるんだよ」
「何で優しさから凶器と変わった飛びすぎだろ」
「あー、女に疎いお前は知らなくていーよブッ」
「うるせー」

火神は女に疎いではなく、鈍感なだけなのだ。しかし、今は女よりバスケに夢中になっているから、経験がある青峰にどうこうと言っても、本当に何様である。
だから、さりげなく話を流す。
聞いてもつまらないのも、火神の本音。

「女に疎くて悪かったな」

「別に悪い意味で言っているんじゃねえよ。お前は女と付き合わない方がいいかもな」

「いや、何で?」

将来はいずれにせよ結婚しなくてはいけないだろう。(一人暮らしの人がたくさんいるけど)常識を備えている火神は少なからず結婚のことなど先のことを考えている。想像したことがないけど。
あるのは、バスケのステージに立っている自分と青峰だけだった。高揚とした感情。盛り上がる観客。収まらない熱気。まるで夢のようなステージ。火神はそれをいつもイメージしながら、青峰に勝ちたい気持ちは強かった。
無意識に心底青峰に陶酔している火神は想像が楽しくて思わず鼻歌をしてしまった。青峰は可笑しいのか一笑で済まされた。
それから、青峰は女は怖いぞ、と続いて、

「女は勘が鋭い生き物だからな。そして、うるさい。俺が苦手なタイプに断然当てはまる。まあ、おっぱいに罪はない!」

と経験のある言葉と共に高校生の健全な言葉を言う。最高のライバルがそんなことを言うなんて、気が抜けて呆れるしかなかった。だが、そこが青峰の良いところでもあるんだよなと思ったけど、口はしない。


いつか愛する奴出来るのかと聞こえ、火神は胸張って言った。

「お前はカッコいいんだから、絶対出来るよ」

青峰は少し考えて、お前もなと麦茶を飲んだ。



∴変わらない友へ
title/休憩
オチは一ヶ月後にアナルにナニをぶち込む青火カップルになります





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