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貴方に出会えて / みょうじ なまえ


『俺はお前を愛してる…これからずっと死ぬまでその手を離さない』
『私も…貴方を愛しております』

「はぁ…天馬くんとなまえさん、とても素敵です!何回見ても感動しちゃいますよ!」
「それな〜、俺も思っちゃう!インステでも当時すごい話題だったから毎チェだったし」
「なに?ドラマの話?」
「そうそう、コレって。ゆっきー見てた?」

私の話題?と思いまして顔を覗かせましたら、椋くんが見ていらしたのは、どうやら私が天馬と共演していた昔の恋愛ドラマのようです。あぁ懐かしいですわ…ホントこの撮影には苦悶しました。

「拷問のような日々でしたわ」
「そりゃこっちの台詞だ」

あら、天馬。いたんですの?
ぜんぜん気がつきませんでしたわ。
ぐっ!て何ですか?そんな傷ついた顔したって1コンマも響きませんし。
成くんと幸ちゃんの溜息が聞こえました。

「現実はこっちだって、世間様の誰も想像しないだろうね」
「俺もお似可愛〜!って疑ってなかったんだけど」
「でも、慣れちゃうと別の意味でドキドキがありますっ」
「え?なにが?」
「あー分かるー!なまえちゃん、テンテンにきびついの絵になるし」
「そこっ!!人事だと思って納得してんじゃねぇよ!!」

お似合いに見えていないと困りますもの。
そういう役柄でしたし、身をきる思いで演じ切った苦労もありますから。
あら、天馬…その目は何ですの?何でもない?目を逸らしたって許しませんわ。

「なになに、さんかく〜?あ!なまえだっ!なまえのドラマ?」
「はい、私が主演だったものですの♪」
「違うだろ、俺主人公!お前ヒロインだろうが!」
「なまえ、可愛い〜!俺も見たい〜」
「っやだ、三角さんたらっ…」
「富士山もそう言ってるよ〜?ね、にゃぁーにゃ?」
「っ!あ、ありがとうございますですわ…(三角さん可愛すぎですっ)」

猫ちゃんをモフモフしながら、首傾げだなんてっ…!
ドキドキいっぱいで、今の私はきっと赤いんだろうと思います。
にゃあにゃあって鳴き声の合唱がよりキュンですわ!

「なまえさんは三角さんと本当にラブラブなんですねっ、僕見てると幸せになっちゃいます」
「胸焼け起こすの間違いだろ」
「ってか、ぶっちゃけテンテンはさ、気になったりとかしないの?実はトライアングラー!だったりとか!?」
「さんかく!?」
「そのさんかくは反応しちゃ駄目でしょ」
「まさかっ!!いや、でも幼馴染で婚約者だし設定的には十分フラグありますよねっ!あ、ありなんでしょうか!」
「だから駄目でしょ。椋は少女漫画の読みすぎ」

皆さん、なにやら盛り上がっておられるようですが。
そんなこと、考えるまでもなく一声です。

「「一生有り得ませんわ(ねぇよ)」」

やだ、ハモッってしまうだなんて私としたことが…
でも実際、三角さんに出会わなければきっと違っていたのでしょう。
小さい頃から、私の生き方はずっと決まっていたも同然でしたから。

「…三角さんに出会えて、初めて知ったんです。私にはこの御方なんだって、この御方だけなんだって…この気持ちがきっと本当に恋と言うのですね」
「なまえさん…」
「なまえちゃんっ…、俺、なんかごめん…」

謝らないで下さいな、成くん…私は別に気にしておりませんから。
実際、昔の私でしたらこんな風に笑えませんでしたもの。
私の世界、お父さまとお母さまの与えてくれる世界が全てでした。
嫌だった訳ではありません、幸せでなかった訳ではありません。
ただ少し、ほんの少し…私で選ぶことができなかったのです。
皆さんに出会えなければ、きっと何も疑問に思わず天馬を尻に敷…と一緒になっていたでしょう。
だから…

「俺はさ、なまえと出会えるって知ってたよ!」
「!」
「だって、俺たちつながってるから〜赤い糸!」

赤い糸…確か、最初に出会った時もそう仰ってくれましたっけ。
私と三角さんが…と思うと、それだけでこんなに嬉しいんですよ?
って、思っていましたら三角さんが私の傍まで!えっ抱き締っ!?

「なまえは俺のうんめーの人!だから、てんまは触れない〜」
「頼まれたって触らねぇし…それよりイチャついてんな!そろそろ稽古行くぞ!」
「えぇ〜?テンテン、ココはそっとして置くとこっしょっ」
「僕も見ていたいです…」
「それ、ドラマの続き?それとも、このバカップルのこと?俺はまだ衣装の仕立てするからパス」
「!!、お前ら俺の言うこと聞けぇ!!」

そそそっそれよりも私の状態に構って下さいー!
ひゃっ、なっ舐めっ!?ましたですか!?

「俺とずっとさんかくしようね〜」
「!…はいっ!」

でも、貴方に微笑まれちゃいましたら全部許せちゃいますっ…

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