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今日は厄日だ。

寝坊して慌てて準備をしてたらポットに常備してるほっと桃茶をぶちまけ火傷した。
急いで冷やそうとしたら足を机の角にぶつけた。
登校中、こけたら鞄が開いていたらしく道の真ん中で思い切り中身をぶちまけた。
それらを拾い集めようとしたら自販機の下に唯一のシャーペンが滑り込んでしまった。
シャーペンを拾おうと四つん這いになって手を伸ばしていたら…

「……何をしてるんですか」

見 ら れ た
死にたい!第三者から見たら自販機の下に手のばしてる女子高生なんて完璧怪しい奴だ。怖すぎて声をかけられた方を向けない。ああもうなんて間が悪い!!
ここを切り抜けるには…

「…夢の欠片を、拾ってるんです」

「………」

……………死にたい!!!!!!!
なに口走ってんだよ馬鹿か。夢の欠片ってなに。シャーペンがか。210円の振ったら芯が出てくるシャーペンが夢の欠片か。すごいな。見ろよ、何言ってんだこいつみたいなこの人の顔…って髪真っ赤!
うっわ髪、真っ赤。すっげ。これでオッドアイとかだったらどこのアニメ出身ですか邪気眼ですかはははーみたいな厨二君の出来上がりじゃんわろす。

「僕の顔が何か」

「イエなにも」

思わずさっと目線を斜め下に向ける。…めっちゃ、見下してきてる。そりゃあじろじろ顔見て失礼だとは思うけどさ、だって凄いじゃん。あんな綺麗な赤髪だよ?レイヤーさんがこぞって欲しがるような赤髪だよ?ちょっとくらい見たってさ、いいじゃん。ねえ?
別に乞食してたわけでも何したわけでもないんだけど視線がちくちくと刺さる。おいやめろ違うんだよシャーペンを拾いたいだけなんだってば空気重いな。
あー無理耐えられない。赤髪の男子高生の前で正座してるこの状況もこの空気もシャーペンは、諦めよう…

「…ここにはもう無いみたいなので失礼しますねぇ」

「え?あ、」

うふふと微笑んで必死にイタい子を演じつつ言い切った直後に全力ダッシュする。何か言いたそうだったけど知るものか。
これは必要なエネルギー消費これは必要なエネルギー消費。
自分にそう言い聞かせるように頭の中で繰り返しながらひたすら学校まで走った。うわあこんなに走ったのいつぶりだろ。あははたのしー。うそ。すっげしんどい。
見てよ。この遅刻でもないのに何でこいつ走ってんのみたいな生徒の目を。
こっち見んな!!
そう心の中で顔を覆い隠し叫びながら走っていたら前方に蛙の置物。
は?ちょ、まっ、なんでこんなとこに…!!



こけた

「あちゃー派手にいったね」

「いっだだだ、せんせ…!」

「我慢しなさい!はい、おしまい!」

「ひぃースパルタ。あざまーす」

まだひりひりと痛む清潔なガーゼで覆われた膝を擦る。あーまだ痛い。あの蛙ほんとまじ誰のだよ。ふっざけんなよ花の女子高生の柔肌を傷物にしおって。見つけ次第たたきのめす。



…………………………
続きます

 

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