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「じゃあよろしくねー」

「…はいはーい」

最悪だ。
教室の扉を閉めて振っていた手をだらりと降ろす。あのJK共め、何回か掃除変わってやったのをいい気になりやがってこの私にゴミ出しを押し付けるだと?随分お偉い身分になったもんだなこら。
まぁ断るなんて無理だけど。だって女の子敵に回すと怖いしー。私平和主義なんでー。
なんてことは鼻くそ程も思ってないけど。べ、別に気が向いただけなんだからね!決して「あ、この子の声 小林ゆうさんに似てる(トゥンク)」なんて思ってないんだからね!
思いました。
もう少し低い感じでじろじろ見てんじゃねえぞ雌豚って言われたら最高なのにと思いながら顔をにやつかせる。Мじゃない。
正直前は見ていなかった。
だから、

「ふ、ぎゃあっ」

転んだ。
ちなみにゴミ箱はの中のゴミは全てぶちまけた。なんてこったい。

ゴミ拾わなきゃとかそんなことよりも痛い。どこがってなんかもう全部。全部痛い。起き上がれんし顔も上げられん。まさか顔からずべしゃーと行くとは思わなかった。信じられない。漫画かよ。だっせー。
転んだままの体制で痛さに内心もんどりうちながら暫くそうしていたら、じゃり、という地面を踏みしめる音と戸惑うようにかけられる男の声に顔を引きつかせる。
え、人居たの……


「お、おい」

「……」

「…大丈夫か、お前」


ダイジョブじゃないデス。




結局、保健室へと引きずられるように連れてこられて乱暴に椅子に座らされ、面倒になったなと思っていたら棚をがちゃがちゃと物色していた先輩?らしき人がくるりとこちらを向いて思わず肩を跳ねさせる。びびびびっくりした。
でも次の言葉でもっと驚くことになった。

「脱げ」

「…………………はあ、」

何を言っているんだ。いやタイツのことなんだろうけど。
というかなんだこのシチュエーションは。どんな乙ゲーだ。私いつフラグ乱立させたっけ。
あーもうまじ何なんだよ高校ってこんなフラグ立つのかよと思っていたら目の前で先輩と思われる人が「あ、たたたタイツだからな!?」とかって顔を赤くした。かわいい。

「…じゃあタイツ脱ぐついでに傷洗ってきます」

「………お前、逃げる気だろ」

いい笑顔で、すちゃっと立てば疑いの眼差しを向けてくる先輩らしき人。失礼な。によによするのを隠す為であって逃げるだなんてそんなこと7割くらいしか思ってなかったよ!
じゃあ見張っててくれていいですよーと気だるげに保健室の一枚窓を開けて蛇口のところでタイツを脱ごうとしたら真っ赤な顔で怒られた。かわいい。


「あ゙ー、もう無理、いっただだだだ…!」

「うるっせえ!我慢しろ!」

無理!
ぐりぐりと消毒液を染み込ませた綿を傷口に押し付けられて私のライフはもうゼロになりそうだ。さっきの顔真っ赤なピュア先輩どこいったんだよ!!!!!
痛い痛い痛い痛い無理無理無理無理。だから他の人の手当ては痛いから嫌なのに!
いつもは幹部を洗ってからオ〇ナイン派の私にとって消毒液は死ぬほど痛い。悪魔の所業じゃないかなこれ。膝下から腕からと、大部分を擦りむいてる為にとんでもなく痛い。のにも関わらずこの人は…!
多分一番深いだろう傷口に、ぽんと綿が当たりひぎっと悲鳴をあげそうになるのを唇を噛んでぐっと堪える。
涙目になりながらちらりと先輩らしき人を見るとたどたどしい手付きでぽんぽんと消毒液を湿らせた綿を幹部に当てていた。

慣れてるんじゃなかったのか。ていうか顔赤………ああ、もしかして足だからか。
ピュア先輩おかえり。大丈夫、触られ慣れてないがまだそこは際どくない。だって膝の少し上だし。内側だけど。いや、でもピュアに見せかけてのイケイケな感じなんだろうか。それもそれで美味しい気がする。

「終わったぞ」

そんな事を考えていたらカチャカチャと器具を片付ける音と共によく頑張ったなと頭に手がのせられた。ピュア先輩もな。
なんだこの先輩男前か。お兄ちゃん萌えでも狙ってるのか?ふっ、残念ながら私はそんな罠にはひっかからないぞ。

「……とかもうそれがフラグですよねー」

「は?何か言ったか?」

「いえなんでもー」

ピュアだったり強引だったり男前だったり…
ああ、なんだ。こんなに楽しそうな人が居るなら三次元も割りと悪くないかもじゃん?




名前教えてください、先輩
((やっべー、にやにやする、まじ絶対だる絡みに行こう))
((?、なんか寒気が…))


 

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