「やっぱり昨日の秋瀬サンだったんだー!」
誰だこのでこ。
朝、眠気をこらえ欠伸を噛み殺していたら私の視界ににゅっと現れたのは少しつり目なでこ。ハイテンションに思わず眉をしかめたのは許してほしい。反応が遅れながらも、はぁと答えた私に反応うっすー!とケラケラ笑うでこ。
朝から元気だわね少年よ。ちょっと黙れ頭に響く。
構わず机に突っ伏し寝ようとするとちょっと放置ー?と楽しげに肩を揺らしてくる。なんなんだこいつ誰だよその触角毟るぞ。馴れ馴れしくすんな私とお前は初対面だよ。
「マジで覚えてない?ほら昨日放課後会ったっしょ!」
「…人違いじゃ?」
「ほら!あー…このゲーム好きなんすか?って!あの戦国ゲームシリーズ流石超面白かったよな!」
「え、」
何故それを、て…え、え?昨日のTSU〇YAの?よくよく思い出せばそんなことあったような…うっそんまじで。くそ、あの時コミュ障発揮してないでちゃんと顔見とけば良かった。
目を見開く私を見てまたケラケラと笑うでこ。何がそんなに愉快なんだか……私の顔の造形か?ねえ顔の造形?ほっとけよ。これだからイケメンは。目の保養ですありがとうございます!
「で、どちら様ですか」
「え、まじで名前わからないの…?」
いやだからほぼ初対面でどうしたら名前と顔一致してるの。じゃあ改めて と楽しげに前振りをする高尾君。早く終わりそうもやいなこれは。
どうやら昨日某ショップで会ったでこは高尾君と言うらしい。しかもクラスメイト。へー、そりゃ普通だったら名前と顔一致してるか。ご丁寧に血液型や誕生日、入ってる部活まで教えてくれたけど、ごめん聞いてなかったわ。
そんな高尾君の顔のある一点に違和感を覚えてじっと見つめる。とても健康そうで血色もいいのに。
「…な、なに?俺の顔に何かついてる?なんつって」
誤魔化すように付け足された言葉に頷くと、マジで?とペタペタと自分の顔を触る高尾君。仕草可愛いなこいつ。
ちらちらと男子からも女子からも視線が飛んできて、大半は私が人と長々と話してるからだろうけど、これは高尾君人気者だわ。
「…君も徹夜仲間か」
「………バレた?」
目の下にはうっすらだけど隈。
ぴっと目の下を指差し逃れられない事実を突きつけると、悪戯がバレた子供のように舌を出して、いやあ止まんなくてと話す高尾君。だからいちいち仕草かわいいな。
でもな、わかるわかるよ君の気持ち。あれはやり込んじゃうって。
改めてよろしく同志
(今度対戦しよーぜ!)
(いいけど後悔すんなよ)