10/31(Sat)
:ハロウィン


山口忠の場合

「あ、かずちゃんおはよう!」

「忠ぃ……」

「えっどうしたの?というかあれ、ツッキーは?」

「……………おいてきた」

「………………え?」

「蛍ちゃんは置いてきた!!」

「ええ?!ちょ、ちょっと待って何があったのか聞くけど取り敢えず歩こっか……ハンカチいる?」

「大丈夫なかない」

「…そっか。で、どうしたの?」

「今日ハロウィンじゃん、お菓子を、作ったんだけど」

「……大体予想つくけど、うん」

「そう、いつも通りダークマターが出来ちゃってねあはは、別でちゃんと用意はしてあったんだけど……」

「あー、それで顔合わせづらくなっちゃったんだね……。ツッキー心配してるよきっと」

「絶対怒ってる」

「置いてかれたのは確かに不服だろうけどそれよりも絶対何かあったのか心配してるよ。あ、ほら」

「LINE?」

「ツッキーからだよ。かずちゃん一緒?って連絡入ってる。あっしかも連投だよ!珍しい!
…ね?心配してるんだよ」

「うぅ…あやまる……」

「あっお菓子ってまだあるの?作ったやつ」

「失敗したから家に置いてきちゃった」

「そっか…………あ。俺、お菓子好きな人知ってるから教えてもらえば?今日作って渡せばいいじゃん。その子器用だから多分作るのも出来ると思うし」

「えっほんと?!あ、でも知らない人とかだったら家に上げたりするのちょっと…」

「大丈夫!かずちゃんも知ってる人だし日向とかとも…うん、仲いいよ、うん、多分」

「じゃあお願いしようかなぁ…」

「わかった!じゃあその子にも放課後に校門の木の下って伝えておくから」

「忠ありがとう。私頑張るよ、!あ、そうだこれ」

「え?」

「ハッピーハロウィンてことで飴だけどどうぞ」

「わ、ありがとう!あ、俺なにも用意してな…」

「いいよいいよ!忠にはいつもお世話になってるから」

「ごめんね、でも嬉しいや。ありがとうかずちゃん」



日向翔陽の場合

「ひなちゃん!」

「星川さん!どうしたんですか?」

「トリックオアトリート!」

「とりっくおあ…?あ!今日ってもしかして、」

「ハロウィンだよ」

「そっか!だから最近カボチャよく見かけたりしたのかー」

「ハロウィンと言えばカボチャは定番だからね。はいこれ!」

「わ、飴だ!えっいいんですか?!」

「ただの飴だけどね、あっでもこれ見て見て!ひなちゃんと同じ綺麗なオレンジ色で綺麗でしょ?どや!」

「おー!!ほんとだ!すげー!星川さん!あざーっす!!」

「どういたしまして」

「あ、そだ!俺今何も持ってないんだけど、昼休み時間あります?お礼したいし坂下一緒に行きません?」

「わあい!お言葉に甘えて行きます!」

「よっしゃー!約束ですよ!」



月島蛍の場合

「あ」

「あ」

「ちょっと何で人の顔見て後ずさるの。いつもはしつこいくらい引っ付いてくる癖に」

「だって蛍ちゃんなんか怒ってる」

「怒ってないよ苛々してるだけで」

「怒ってるじゃん!朝置いていってごめんなさい!」

「ハァ…別にいいけどね」

「あ、あともういっこ謝らなきゃいけないことが…」

「今度は何したの」

「何もしてないよ?!でもあの、今日一緒に帰れなくなって…」

「……ふーん。わかった」

「え?それだけ?」

「僕も用事頼まれたから丁度いいし、何企んでるんだか知らないけどお互い用事があるなら仕方ないデショ」

「そっか、そうだよね…」

「…はぁ、そんなあからさまに落ち込むのやめてくれる」

「じゃあ今夜蛍ちゃん家行っていい?」

「……ダメって言ってもどうせ来るんでショ」

「やった!絶対成功させるからね!」

「…何を?」



影山飛雄の場合

「あっ飛雄ちゃんだ。やっほー」

「ちす、星川さん1年の廊下でどうしたんすか?」

「えへへー実は蛍ちゃんと密会してきたんです」

「みっかい…?」

「密かに会うこと。密会」

「何でこそこそ会うんすか?堂々としてればいいじゃないですか」

「うん、まぁ密会ってのは冗談なんだけどね。ところで今日はハロウィンなので飛雄ちゃんに飴をあげましょう」

「はろうぃん…??」

「………飛雄ちゃん次の学年末大丈夫?蛍ちゃんから聞いたけどテスト赤点だったら色々大変なんでしょ?」

「う、いや、でも谷地さんとか月島も居るんで、部活の為ならまた乗り越えて見せます!」

「前半の言葉がなければかっこよかったんだけどなぁ。まぁハロウィンっていうのは仮装してお菓子をくれなきゃ悪戯するぞーって近所まわったりするお祭りみたいなものでね?」

「だから飴なんすね。でも何で配ってるんすか?」

「面倒だから先に手は打っておこうと思って。あと友達にあげた分の余り物?」

「よくわかんねぇけど、あざす」

「素直な子は好きですどういたしまして」



谷地仁花の場合

「やっちゃーん!」

「はひぇ!!かかかずみ先輩なんでこんなところに?!」

「えへへ、やっちゃんに会いたくて……スナイパーの目を掻い潜ってここまで来たんだよ」

「ひっ?!スナイパー?!!ついに命を狙われる程に…」

「そこでやっちゃん、これは極秘任務なんだけど…このオレンジ色の飴はスナイパーの目を欺くちょっとした仕掛けがしてあるんだ。私はもう食べたし、明日にはスナイパーもいなくなるから、やっちゃんにコレあげる」

「ひょ、この飴をですか…!ありがとうございます!」

「いいえ。明日また生きて会おうね」

「はい、!!!必ずや……!」

「(ほんとにこんなの信じちゃって…やっちゃん大丈夫かな…)」



月島蛍の場合

「(山口は木の下で待ってるって言ってたけど迷惑だし断ってさっさと帰ろう…)」

「…あ、あれ?蛍ちゃん?」

「かずみ…?何でここに」

「いや、あの、人を待ってて…忠に紹介してもらったんだけど……」

「…山口に? 、くそ、余計なこと…。かずみ帰るよ」

「え、でも私人を…蛍ちゃんも用事あるんじゃないの?」

「僕の用事は今終わったから。ていうか山口に言われてここ来ただけだし」

「蛍ちゃんも忠に……え、てことは」

「そうだよ。まんまとうまく嵌められたってワケ」

「そ、そっかぁ……」

「なに安心してるの?ていうか人を待ってるって山口に何て言われたワケ?」

「や、あのね、今日ハロウィンじゃない?」

「ああ、そう言えばそうだね」

「お菓子、作ったんだけど…失敗しちゃって」

「…まさかだけど。それで朝僕のこと置いて行ったわけ?」

「うっ、ご想像の通りです」

「ハァ、有り得ないんだけど。どれだけ心配したと思ってるの?大体からしてお菓子作りとか苦手なのに…先輩たちじゃあるまいし、イベントごととかそんなに張り切るたちでもないデショ?」

「でも、だって…お菓子配り歩きながらトリックオアトリートしたかったんだもん」

「なにそれ……」

「だから忠が甘いもの好きで手先が器用な人紹介してあげるっていうから……」

「(ホントに嵌められたってワケ…)……それで?来たのが僕じゃなかったらどうしてたの?」

「うっ、で、でも……」

「でも?」

「蛍ちゃん以外の男の子家に上げるのやだし、やっぱりいくら忠の紹介でもお断りしてたかなぁって……」

「…………帰るよ」

「えっ、まって蛍ちゃん」

「早くして。嶋田マートにも寄るんでしょ?」

「え、なんで……」

「お菓子、作るんでショ?一緒にいてあげるから早くしてって言ってンの」

「! あ、ありがとう!蛍ちゃんだいすき!」

「知ってる」




Happy Halloween


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