46. フィレンツェ行き超特急



シャワーを浴びて部屋で休んでいると、暫くしてポンペイ組の3名が鍵を持って戻ってきた。
相当な死闘だっらしく、3人は息も絶え絶えで疲れ切っていた。特にアバッキオは手を負傷ーーというより、そのままそっくり"取れて"しまっていて、ブチャラティが大慌てで彼の手当をする。
(それはヴィスカの胸にジッパーを付けたように、アバッキオの手首と手を、ジッパーでつなぎ合わせると言う荒療治だった)

頭から血を流していたらしいフーゴは、少し辛そうに目を細めながらヴィスカに歩みよる。

「あんたの言った通りだ。鏡の中に男に引きづりこまれたよ」
「……じゃあ、相手は」
「ああ。イルーゾォという男でした」
「……彼だけだったの?」
「ああ、一人きりだったさ。アバッキオがかなり手を焼いていたんだけれど、最後の最後でジョルノが始末してくれたよ」

ヴィスカはジョルノに視線を移す。多少の疲れこそ見えるものの、その表情はポンペイに発つ前と変わり無いようにも思えた。

(ホルマジオの次はイルーゾォがーー…)

仲間想いのリゾットが、これ以上の犠牲を覚悟で誰かを使わせるとは、普段であれば考えにくい事だ。
ただーー…、深淵に潜むようなあの瞳は、時として"何か"に憑りつかれているかのように見える時がある。

いわば執着。

ボスの娘を拉致できるのと、念願のブチャラティチームを一掃できるこの機会を、みすみす見逃す様な男じゃないのは、半年間近くにいたヴィスカが一番よく分かる事だ。
それに残された仲間も、殺されたホルマジオとイルーゾォの仇を取れるのを楽しみに待ち構えているに違いない。
次もきっと誰かが来る。それもーー…、すぐに。

「奴はあんたを探してた」
「……そう」
「ここにいるのは正解だったね。アイツの能力に閉じ込められた挙句ーー逃げられもすれば、何も成す術は無かったと思う」

ホルマジオの時も気にかかっていたが、イルーゾォも自分を探していたとなると、事態は少々ややこしくなる。
リゾットが執着しているのはトリッシュやブチャラティだけじゃなく、どうやら自分もらしい。

「ねぇ、アイツらが私を探してる事ーーみんなには言わないで」

言うと、フーゴは怪訝そうに眉を上げる。

「…何か理由でも?」
「……私たちはトリッシュを護る事が最優先でしょ。余計な事を言って、任務に支障が出れば困るから。それに、心配もかけたくないし」

トリッシュだけでなく自分さえも狙われているとなれば、仲間の注意が少なからず自分に向くだろう。ーー…特にミスタなんかは。
自分に気を取られてしまった隙にトリッシュを拉致されるなんて起ころうものなら、こんな滑稽な事は無い。
やんわりとフーゴに伝えると、男はへら、と笑った。

「へえ。少しは僕たちの事を考えてるんだ。見直したよ。まぁでも安心してください。そんなどうでも良い事、言いふらしたりしませんから」
「そ。ありがと」

フーゴの憎まれ口に対してニッコリと笑うと、気まずいのか、フーゴはふいと目線を逸らした。
そしてポリポリと頬をかいたと思えば、言いにくそうに一言。

「…‥…それと。あんたの情報があったから、僕はいち早く気付く事が出来た。……感謝してる」

感謝を告げられたことに対し、ヴィスカは目を丸くした。
自分をこれでもかと言うほどに毛嫌いしていたあのフーゴが、こんなにも素直に自分に対してお礼を言うなんて考えられない事だったから。

「何だよ、人が折角感謝してるって言うのに、そんな変な顔をする必要ないだろ」
「……そうだね。ごめん。…でも良かった、フーゴに大きなケガが無くて」
「ッ、と、とにかくッ…お礼は言いましたからね……」

赤くなった顔のフーゴと、ちぐはぐなその言葉に、もう一度ヴィスカは微笑んだ。





「大丈夫か、フーゴ」

フーゴの様子を気にかけたブチャラティがやって来たのは、丁度ヴィスカと入れ違いだった。

「はい、僕は大丈夫です。それよりもアバッキオが心配だ」
「アイツなら問題ねぇよ。ああ見えて一番タフだからな」
「ああ…まぁ確かに」
「少し休んだらすぐに出発だ。鍵の情報によると、俺たちはネアポリス駅から、フィレンツェ行きの特急列車に乗る必要がある」
「……となると、すぐにでも出ないといけないですね。準備はできてます」

フーゴは腕時計をちらと見やった後、気になっていた事をぼそりと零した。

「……ねぇブチャラティ。彼女をーー…ヴィスカを、なんで僕たちのチームに入れたんですか」

こんな所で突拍子も無い事を聞かれたブチャラティは、言い淀んでいるフーゴを見て、目を丸くする。
それは丁度、フーゴに感謝をされた時にヴィスカが見せたような表情だった。

「なんだよ、お前たちーーさっきまで楽しそうに喋ってたじゃあないか。ヴィスカが嫌いなのか?」
「誰が楽しそうに、ですかッ!…いや、そういう問題じゃあなくって…というか嫌いとかでは無いですよ…別に…」
「へぇ。すっかり仲良くなってんじゃねーか」
「…質問をはぐらかさないでください。仮にも女をギャングに入れるなんてーー…僕は正気じゃないと思うんですがね」

鼻にしわを寄せるフーゴを見て笑った後、ブチャラティは昔を懐かしむようにこう切り出した。

「……昔、俺たちのチームに入れてくれと毎日せがみに来ていた娘を覚えてるか?」
「……?あぁーー…そんな人、いましたね」

もう随分と昔の事になる。毎日決まった時間にリストランテにやってくる娘がいた。
家もあって裕福で、何不自由ないその少女は、ギャングになると信じて疑う事を知らなかった。
毎度のことにいよいよ痺れを切らしたブチャラティが強く断ったその日の晩の事。車に引かれ、彼女は死んだ。
ドライバーは悪くなかった。娘の、前方不注意だった。

幸い家の人間は自分たちの存在を知らなかったため、不慮の事故で片付けられたがーー
今の今まで思い出さずに閉まっていた苦い出来事に、フーゴは複雑な顔をする。

「……あの女にヴィスカを、照らし合わせてるって口ぶりですね?」
「お前の言う通り、正直、そういう部分もある。俺の選択のせいで善良な人間を死なせたくねぇっつーのはな…」

あの娘は、ブチャラティの事を"特別な男"だと呼び慕っていた。
自分が断り続けた結果、彼女を死なせてしまった罪悪感がブチャラティにはある。
罪滅ぼしとか、彼女の面影をヴィスカに重ねてしまう部分も少なからずあるのだけれど。

「ヴィスカはーー…俺の夢をその目に見たんだ。あの輝きを、俺はたぶんこの先も忘れない」
「……夢を…?」
「ああ。ギャングスターになる夢さ。俺がそれを叶えた時、ヴィスカが隣にいて欲しいと思った。いや、彼女と共に叶えたいと思ったのかな。…だから声をかけた」

いや、俺の夢ーーじゃあなく"俺たち"の夢、というべきだったな。悪かった。ブチャラティは焦った様に続けざまに口にする。

「……」

フーゴは驚いてもいた。
まず、本来は胸に秘めるべき特別な感情を、こんなにも真っ直ぐ、素直に、目の前の誰かに伝えられる事に対して。
そしてーーー…

「お前にもいつか分かる。自分を応援してくれる大切な人間が傍にいるのが、どんなに心強いかを」

フーゴは確信した。ブチャラティは、自分や他の仲間には無い別の感情を、ヴィスカに抱いている事を。





大型のバンにトリッシュを乗せ、7名は次の指令の地点であるヴェネツィアに向かうため、ネアポリス駅へと急いだ。
途中、フーゴがトリッシュの胸に"わざと"ぶつかるという小さな騒動もあったが、(ミスタが鼻の下を伸ばしているのを、ヴィスカは呆れ顔で見ていた)彼らは無事に駅に着く事ができた。

ブチャラティは"亀のいる水飲み場"を探しに。
ヴィスカはミスタ達に続き、一足先に列車に乗り込もうとしていた。

「なァヴィスカ。これ、持っててくんねェ?」
「え?」

振り返りざまミスタに渡されたのは、彼が愛用する銃の弾丸だった。
何故か2つも手渡されたそれを、ヴィスカはマジマジと見る。

「……どうして私に?」
「なんつーか、その……もしもの時に役立つかもしれねーだろ。俺が弾切れの時とかよォ。お前がいればすぐに出るだろ」
「それってつまり、私に傍にいろって事?」
「そーゆー事。これからもっと危なくなるんだ。俺から離れんじゃあねーぞ」

ミスタはぶっきらぼうに言ってズカズカと列車に乗り込むと、きょとんとしているヴィスカに向けて、ダメ押しのもう一言。

「なんだ、その…ピアスとかアクセサリーじゃあねぇけど。お守り代わりに大事にしまっとけ」

そこまで言われて、ヴィスカはピンときた。
もしかしたら、ブチャラティから貰ったピアスに妬いているのかもしれない。ミスタなりに、何か自分と繋ぎとめる物を預けておきたかったのだろう。
傍にいさせる口実と、お守り代わりのアイテム。そういう所はやっぱりミスタらしい。

「……これって、ミスタの使っている銃にしか使えないんだよね」
「ああ?そうだぜ。俺使ってんの結構マイナーな型だしな、おいそれと旅先で手に入る代物じゃあねーのよ」
「そしたら弾切れは死活問題じゃない」
「だーから大事にしろって言ってんの」
「ふぅん……」

"大事な物"だとやけに強調するのは、あながち間違いでは無さそうだった。
2つの弾丸をくるりとまわして見つめた後ヴィスカは、にっと頬をあげる。それはどこか含みのある笑いだった。

「分かった、大事にする」
「よしよし、それでいいんだよ。ぼーっとしてないで行くぜ、ほら」

差し出されたミスタの手を取って、列車の段差を飛び越えようとした時。

「ーー…」
「おい、どうした?」
「ーーいや」

ヴィスカは見知った気配を後ろから感じ、眉を潜めた。
影に潜んで行動する人間のーー…ぬるい空気が動くような、重い独特な視線。
ヴィスカはほんの数秒、プラットフォームの人の往来を確かめた後、握られた手に力を込め、階段に足をかけた。

「……おい、まさか」
「………ううん、やっぱり思い過ごしかも。ここって人が沢山いるし」

列車に乗り込むと、身に及ぶ危険から護る様に、ミスタはヴィスカの腰に手を回して引き寄せる。
さもこれが当たり前だと言いたげなミスタの顔を、ヴィスカは呆れ顔で覗き込んだ。

「ね、ねぇ。危ないのは分かるけど、…いくら何でもこれはちょっと歩きにくいんだけど…」
「やーだね。離したくありませーん。敵がすぐそこにいるかもしれねーだろ〜〜」
「……」

あのベッドでの一件以来ーーミスタの"アピール"が強くなっているのは気のせいでは無いらしい。
熱烈な愛の告白を思い出し、ヴィスカは頭を振って、ジョルノとやトリッシュが待っている方へと急いだ。



その後、ブチャラティが抱えて持ってきた"亀"の中に一同は身を隠し、発車ギリギリの所で安全を確保した。
スタンドを備えた亀らしい。ボスの提案である"敵に見つからずに移動できる乗り物"はこの事だったようだ。
亀の中はホテルの一室のような作りになっていて、ソファや雑誌、さらには冷えた飲み物が詰まった小さな冷蔵庫までもが完備されている。
各々が長旅の疲れをリラックスさせた後、ポンペイ組の3名はいつの間にかソファで仮眠をとり出し、ミスタとナランチャは亀の外に顔を出して、順番に辺りを警戒し出す。

当のトリッシュは雑誌を片手に、1人くつろいでいる。
ナランチャとの買い出しで彼女のために買ったハンカチは、その用途こそ違えどーー…冷えたグラスの水滴を拭くのに役立っているらしく、ヴィスカはホッしていた。
このまま無事にヴェネツィアに送り届けられれば、任務は終了する。
ホルマジオとの戦火から護られた荷物をチラと目で見やった。必要だと思って買った物だったが、こうして安全な乗り物もある事だし、もうこれは要らないのかもしれない。

「おいヴィスカ。気になっていたんだが、随分と大荷物を持ってきたんだな。何を買ったんだ?」

真向いのソファに座っていたブチャラティは、ヴィスカの目線の先を気にして声をかけた。
ショッピングバッグ一つ分を、大荷物と捉えるかそうでないかはその人間次第だ。
けれども、手持ちの殆どない男所帯の中ではやはり、ヴィスカの荷物は明らかに目立っている。

中身が気になるのか、立ち上がって袋に手を伸ばそうとするブチャラティに、ヴィスカは急いで制した。

「ーー…こッ、これは万が一のトリッシュの着替えとかッーー…ランジェリーだってあるのよッ。とにかく、女の子には色々と必要なの。まさか中身を見るなんて、無粋な事をしたいの?」

名前を呼ばれてか、会話を聞いていたからか、トリッシュの目がブチャラティとヴィスカの2人に向く。
その辛辣な瞳と、ランジェリーの一言に、ブチャラティは顔を染めてうろたえた。

「ーー……そ、そうだな。ボスの娘の着替えなんて見るもんじゃあねェ。すまなかったな、トリッシュ」
「……」

トリッシュは何も言わず、顔を逸らしてまた視線を雑誌に戻すのだが。

(……あれ?)

ヴィスカは彼女の"ちょっとした"異変に気付く。
ブチャラティの視線を避けるようにしながら雑誌を開いているが、その染まった頬は、ヴィスカの方からはしっかりと捉える事ができていた。

(もしかして、トリッシュはーー…)

そっけない彼女の年相応の少女らしさ。あるいは、恋心か。
その秘密を密やかに垣間見たような気がして、ヴィスカは顔を綻ばせるが。

(……)

チクリ、と胸の何処かが痛んだような気がするのは、思い過ごしだと思いたかった。



その後、見張りのために外へ顔を出していたナランチャとミスタが戻り、それからまた、部屋の中は沈黙が下りた。
敵が騒ぎ立てる気配も無い。列車に乗る前に感じた"違和感"は、このまま思い過ごしだと思いたかったーー…のだが。

一番最初に異変が起きたのはナランチャだった。
強く咳き込み出して顔を上げたその目の周りには老人のような皺が深く刻まれていて、ヴィスカは思わず口走る。

「プロシュートーーッ!?」

彼女の声に反応してか、休んでいたジョルノが目を開けた。
ジョルノはおろかーー、隣で寝ているフーゴ、アバッキオの顔にも老化が始まっている。

ヴィスカは奥歯をギリ、と強く噛む。これは完全にプロシュートの仕業だった。
まさかトリッシュまでも巻き込まないだろうと安心していた余裕が仇になったらしい。
一番あってはならない展開になっている。全員老化してしまえば、反撃の余地は限りなくゼロだ。
焦ったブチャラティがヴィスカに振り返った。

「ヴィスカ!!こいつはもしかして…ッ」
「ええ、プロシュートという男のスタンド能力よ!早い所あの男を見つけないとーーッ!」

駆け出して行こうとするヴィスカに、今度はミスタが叫ぶ。

「なァ、何か対処法は無いのかよ!?このままだとナランチャが老いぼれになって死んじまう!」
「弱点なんか無いわ!あのスタンドの煙を吸ったら、仲間も敵も構わずに、みんな老化していづれ死ぬのよ…!!」
「おいおいおい、それマジかよッ……!?!」
「あの男のスタンドとは、"時間との闘い"になる。早く見つけて仕留めないと、下手したらこの列車の乗客全員がーーッ」

だから早くあの男を見つけないと、と急く彼女に、ジョルノが声をかけた。

「ヴィスカ!まだ行くのは早いッ!!」

調べなくてはならない事がある、と矢継ぎ早にジョルノが捲し立てた。

「調べるってーー…何をッ…」
「弱点です」

ヴィスカは見ようとも考えようともしなかったその"弱点"という言葉に、目を大きく見開いた。
敵いもしなかったあの男に、突破口があるかもしれない。

「ヴィスカ、どんなスタンドにも弱点は必ずある。賢い貴方なら分かるはずです。敵わないと決めつけてしまっては、見えないものも見えなくなりますよ」
「ーー……」

ジョルノに諭され、ヴィスカは一旦落ち着きを取り戻すものの、焦りの次はぶつけようのない苛立ちが込み上げる。
あんなに行動を共にしていたのに、あの男は自分に弱点を教えた事すらなかった。もしかしたらペッシは知っていたのかもしれないけれど。

(ーー…信用されてなかったってワケね。あンの男…)

ふつふつと込み上げる苛立ちを、仕方ないと思う心でけん制し、深呼吸をして落ち着きをもう一度取り戻す。

トリッシュも自分も、老化は比較的遅い。

性別。いいや、体温の変化か。
冷蔵庫の近くにいたミスタ、冷たい物を飲んでいたトリッシュ、特に何も飲んでいなかった自分。
3人の共通点は、蒸し暑くなる室内で、特に温度の変化を受けてなかった人間だ。

「温度のーー…変化」

ヴィスカの推測に、ジョルノはニコリと頷いた。

「僕たちは必ず助かるし、トリッシュも護ります。そうでしょう?」

「ーーなるほど、そいつを倒せばこの可笑しな現象は止むって事だな?」
「ええ、ブチャラティ。おそらくは」
「よし分かった。ここはミスタに行かせる」

意気込んだミスタが先陣切って亀の外へ飛び出していこうとするのだが。

「待ってミスタ!プロシュートがいるなら、きっとペッシもいるはず」
「2人いる可能性が高いんだな?ペッシーー確か釣り竿の男だな!?」
「そうよ。だからミスタ、"釣り針"にくれぐれも気を付けてーーッ」

そう声をかけた後、ヴィスカははたと止まる。
気の弱いペッシの事だ。自分が行って、何か言葉をかければーー、気の迷が生じて隙ができるかもしれない。
あわよくば闘わないよう彼らを説得するとか、上手く引き返す事ができたなら。
ペッシは自分に対して好感を抱いているのもある。こうして利用するのは気が引けるが、そんな事を言ってる場合でもない。

「……ブチャラティ、私、運転室のエアコンを付けて来るわ。涼しくなれば、みんなの老化も遅くなるはず」
「エアコン?ああ、助かる。だが外に出たらすぐに戻ってくるんだぞ」
「…もちろん」

ヴィスカはソファにかけてあったジャケットを手に取ると、内側に閉まってある"ある物"を確認してから袖を通した。


(……いざとなったら)

(…ううん、今は考えないでおこう)



ヴィスカが出て行ってから暫くすると、空調が効いてきたのか室内の温度が下がってくるのだが。

「‥‥…遅いな。トイレでも行ってるのかーー…?」

時計を確認したブチャラティは、いつまでたっても戻らない彼女に、一抹の不安を抱えていた。


46. フィレンツェ行き超特急 end
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