▼跡日
この腕に抱かれはじめて、もうどれだけの時間がすぎたのだろう。
「若・・・」
いつの間にか呼ばれるようになった名前。嫌だ、とは思ったことはない。
ただまだ慣れなくて、呼ばれる度に心のどこかがこそばゆくなる。
跡部さんは、優しい、俺を不安にさせることもしない。
体を重ねることになってから随分とたつけれどいつだって丁寧に愛してくれる。
高等部に進学して忙しいなか、時間をつくってくれる。
会いたい、といえば夜中でも駆けつけてくれた。
たくさんの、ものを、愛を、もらっているのだとわかっている。
返すことのできるもの何もないとないというに。
そんな気持ちさえもあなたは汲み取ってくれる。
「お前は、ただそこにいてくれるだけでいい。」
でも、俺は臆病だから。
「愛してる。」
強く、俺の奥底までもを貫く青い瞳。
「・・・俺も、好きですよ。」
ああ、
もっと。
もっと強く、その瞳と同じように俺に触れて。
乱暴に、熱く、あなたの熱も、激情も、醜さも、俺は全てを受け止めるから。
そうじゃないと、
(たった五文字の、その一言すら言えない。)
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ありがち跡日。
「愛してる。」をさらりと言える日本の中学生は全国探しても跡部様だけだと思う。
跡部様視点もかきたいような。