(1/1)


※一君にょた化です


ウラドと知り合ったのは、剣道部の先輩であり、部長の土方を通してだった。
薄桜学園高等部に進学したはじめ。剣道部に入部して間もなく、その実力を買われて1年女子ながら、副部長に指名された。
そして毎月開かれる、運動部長会議。
運動部の部長・副部長が集まり、会議と言う名の親睦会が月1回開かれる。
その場に、空手部部長の永倉と共に出席した副部長のウラドが、土方のクラスメイトだった。
彼を見たのは、それが最初。ウラド・アヴェレスクと言う有名人のことは、はじめも知っていた。
東欧系の父親と日本人の母親を持つ、ハーフの彼。
黒髪・黒い瞳に、すっきりと清涼感ある顔立ちと、物静かな佇まい。
部長の永倉と互角・・・それ以上と言われる空手の腕。
なのに、表にでるのは苦手だと言って、裏から永倉を支える副部長という立場を望んだという。
おまけに学業も優秀。となれば、女子が放っておかないものだが、特定の女子の存在はないらしい。
「ウラド。」
「ああ、土方。」
会議でウラドを見つけた土方が声を掛けると、こちらに近づいてきた。
「あいかわらず、新八のお守とは、お前も大変だな。」
「だが、あいつのあの性格のおかげで、うちは上手くやっている。私が部長などしたら・・・」
「そうか?俺はお前が部長でも上手くやれると思うんだが。まあ、堅苦しくはなるだろうがな。」
「ふ・・・土方に言われたくはないな。・・・ところで。」
急に、彼の視線がはじめに向けられた。
「彼女がそうなのか?入部早々土方に認められた、というのは?」
副部長に任命された後、周りからはやっかみ半分、好奇心半分の視線を向けられた。
女に副部長が務まるのか?部長とデキているのではないか?など・・・つまらぬ噂ばかり。
てっきり彼もそう言った目で見るのでは?と思ったが。
「ああ。こいつは見かけは女だが、剣は男顔負けだ。総司と互角だからな。」
総司とは、やはり剣道部の一員で、2年男子。彼は天才剣士と呼ばれ、副部長に・・・と周りから言われていたが、本人が面倒くさい事はしたくないと、拒否したのだった。
「そうか。総司と互角なら、大したものだ。周りが色々言うだろうが、お前はお前のなすべきことをすればいい。」
柔らかな微笑を浮かべ、ウラドがそう言った。
「っ・・・!は、はい・・・ありがとうございます。」
彼の微笑を見て、その心地よい低音で話しかけられた時から。
(なぜ・・・こんなにドキドキするのだ?)

それ以降。校内でたまに彼を見かけるたび、心臓の鼓動が激しくなるという、原因不明の症状がはじめを襲う。
そして、女生徒とウラドが一緒にいたり、なにか話しているのを見かけると、もやもやとした感情が胸に広がる。
「千鶴、ちょっといいか?」
クラスメイトで、マネージャーをしている千鶴に、この不可解な症状を聞いてみることにした。
「その・・・少し、相談したいことがあって。」
「え?はじめさんが、私に相談?」
学業ならばはじめの方が優秀だし、いつも冷静な彼女に悩みがあるとは、今まで気付かなかった。
神妙な面持ちで、こくりと頷く。
「あ、じゃあ部活が終わってから、どこかでゆっくり話しましょうか?」

運ばれてきたジュースに手を付けることなく、はじめは困ったような顔をしていた。
「それで、相談って?」
千鶴に促され、言葉を選びながら話す。
「・・・ある人についてなのだが・・・」
「ある人?またなにか言われたの?」
彼女が副部長となったことを、あまりよく思っていない部員が未だにいる。そう返せば、びっくりしたような顔で、慌てて首を横に振った。
「そ、そうではない・・・その・・・ある人を、たまに校内で見かけたりするのだが・・・」
そわそわとスカートを握ったり、離したりと落ち着かない。
「その人を見ると・・・なんというか、こう、心臓の鼓動が激しくなる・・というか・・」
彼女は俯き加減で話しているので、千鶴が目を見開いているのが分からない。
「それと、その人が・・・女生徒と一緒にいたり、喋っているのを見ると・・・もやもやするというか・・・」
「はじめさんっ・・・そそそそそ・・それって・・・」
かなり驚いている様子の千鶴。それを見たはじめも、なにか重大な問題なのか?!と心配になった。
「ど、どうしたのだ?なにか病気なのだろうか?!」
ぷるぷると千鶴が、頭を振った。
「それって・・・・恋。」
「こっ・・・・?!」
「はじめさん、その人に恋してる。」
「恋・・・・・」
思いもよらない指摘に、はじめは言葉をなくした。

年末の大掃除中に、偶然見つけたウラドの高校時代の卒業アルバム。
今より若干若い彼の写真を見ているうちに、初めて出会ったころを思い出していた。
恋心を自覚してからというもの、彼と話す時は恥ずかしさから、素っ気ない態度をとってしまう。
後から、もっと話したかったのに・・・と後悔することしきり。
バレンタインの時期、周りの女子がチョコを渡すだの言っているのを聞き、密かに用意はするものの、渡せずじまい。
しかし、卒業する彼に、思い切って想いを告げると
「知っていた。」
澄ました顔で答える彼に
「なっ、なんで?!あんなに素っ気ない態度をしていたのに・・・っ」
思わず詰め寄ると、ウラドは微笑を浮かべた。
「バレバレなんだよ、お前の態度は。」
いつも、私を目で追っていただろう?
そう言われ、真っ赤になった彼女の手に、制服の第2ボタンを握らせた。

あれから6年。彼は大学に行き、卒業後は土方と、コンピューター関係の会社を興した。
経営のほうは土方が受け持ち、ウラドはプログラム関係を担当。
お互いの才覚を上手く活かした経営は、なかなか順調で、すでに社員を10名ほど抱える規模までになっている。
そして、今年の初夏。短大を出た後、普通にOLしていた恋人に、こう言った。
「仕事も落ち着いたし、そろそろ出すか。」
いきなり言われ、首をかしげる。
「なにをだ?」
その目の前に、ずいっと差し出された、ウラドの名前がすでに書き込んである一枚の用紙。
「婚姻届。」
「っ!!!」

会社は今日、29日まで開けているとかで、明日から1週間の正月休みだ。
普段は、土日もオフィスや自宅でパソコンをいじっていることが多いウラド。まだ新婚3カ月なのに、世間一般の新婚さんほど甘い毎日ではなかった。
「仕事だと分かっているが・・・やはり寂しい。」
はあーとため息をついた。
が、正月は仕事を持ちこまない!と言ってくれたし、ウラドの両親は父親の故郷で暮らしてる。
結婚式の時に会っているので、正月は特にあちらに行く必要はないそうだ。はじめの実家にも今回は帰らない。
と、いうわけで・・・まる1週間は二人きりだ!!思わず、手にぐっと力が入る。

ピンポーンとチャイムが鳴る。ウラドだ!!!と、はじめはいそいそと玄関までお出迎え。
「ただいま、はじめ。」
「おかえり。疲れただろう?風呂が沸いている。」
本当ならここで、「ダーリン、お帰り〜v寂しかったんだからぁvv」などと言うものだろうが、恥ずかしがり屋のはじめには、そんなことはとても言えなかった。
ウラドもそれは十分わかっているので、愛想ない出迎えでも不満など抱いたことはない。
むしろ「相変わらず恥ずかしがり屋だな。まあ、そこが可愛いし、ベッドの中では○×▲※■(あえて伏字)だしな。」などと思っている。
「疲れた、はじめ・・・。」
そう言いながら、抱きしめた。可愛いはじめはいい匂いがするし、柔らかいしで、疲れた心を癒してくれる。胸に顔を埋め、至福を感じる・・・と、大事なことを思い出した。
「はじめ、お帰りのキスは?」
「っ・・・」
いつものことなのに、未だに恥じらう。顔を赤くして、視線を泳がせている。
「はじめ・・・」
ねだるように甘い声で言うと、おずおずと唇を押しつけて、すぐに離れようとしたが・・・
「っ!!!!」
ウラドが離れることを許さず、さらに濃厚なキスを仕掛けてきた。
(玄関で盛るなーーー!!)
はじめは心で叫んだが、でも愛する旦那様の愛情表現を甘んじて受けてしまうあたり、彼女もまんざらではない様子。
しばらくはお互いを貪りあっていたが、満足したのか、ようやくウラドが唇を離した。ぺろりとはじめの唇を舐め、目を細めた。
「・・・はじめ、エロい顔してる・・・キスで感じたのか?」
「・・・ばか・・・」
ほんのりとピンクに頬を染めたはじめ。思わずムラっときたウラド、彼女の太もも撫でながら
「このままベッドに行ってもいいが?」
エロボイスで囁くが、
「っ!!そ、そんなこと言ってないで、さっさと風呂に入れ!」
はじめは真っ赤な顔でそう言って、太ももを撫でまわすウラドの手をピシャっと叩くと、ドスドスと奥に行ってしまった。その後ろ姿を、ウラドは笑いながら追いかけた。

30日と31日は買い出しや飾り付けで忙しく。
「今年もお疲れさま。」
31日の夜、やっと落ち着いた。まずはビールで乾杯。
はじめもウラドも酒豪なので、ビールの後にまだまだアルコールは続く。
12時が近くなるころにはソファーに移動し、ウラドはテレビを見ながら、ちびちびとウィスキーを飲んでいた。横では、はじめが半分寝ている。
「はじめ、そろそろ新年だ。」
「んー。」
「はじめ?」
見ると、彼女はくうくうと寝息を立てていた。思わずじっと寝顔に見入るウラド。
「すまないな、お前に寂しい想いをさせて・・・」
土日もあまり構ってやれず、夜遅い帰宅も多かった。
それでも、文句一つ言わず、彼を待っていたはじめ。
だから・・・
「休みの間は、お前専属だぞ?」
抱きあげ、ベッドに寝かすと、軽く口づけ。
「お休み。」

正月の朝。
「おめでとう、はじめ。」
「今年もよろしく。」
ぺこりとお互い挨拶すると、朝食を始めた。
「はじめ、お年賀なんだが・・・」
「お年賀?」
「お年玉だ。」
「・・・誰が誰に?」
「勿論、お前が私に。」
「意味がわからない。」
「私からお前にもあるぞ。」
そう言って、袋から何かを出した。
フリフリの白いエプロン・・・・
「これをどうしろと?」
「これは私からお前へのお年玉だ。そして、お前からは」
「却下。」
「まだなにも言ってないだろうが。」
不満そうな顔のウラドに、はじめが冷たい眼差しを向ける。
「どうせこれを着て、裸エプロンなどとほざくのではないか?」
「どうして分かった?!」
「・・・・やはりそうか。」
愛しの旦那様が変態だったとは!妻はため息をついた。
「裸エプロンは男のロマンだそうだ。」
「・・・・永倉さんだな、その出所は。」
社会人となった後も、ウラドと時々飲んだりしているらしき、悪友の姿を思い出した。悪い人ではないのだが。
「どうしても嫌か?」
どこかシュンとした顔をされて、はじめはキュンとしてしまった。
皆の前では、颯爽と男らしいきりっとした若き経営者。だが、彼女の前でだけは、こうやって可愛い男の面も見せる。
「・・・あんたが、どうしてもって言うなら・・・か、考えても、いい・・・が・・・」
俯き、恥じらいながら小さな声で言うと、ウラドが立ち上がり、はじめに抱きついてきた。
「本当か?!はじめ、愛している!」
「え?ちょ・・・っ、ウラドっ?!」
抱きつくのはいいが、ブラウスのボタンをはずし出すのはなぜ?!
「まてっ・・・!なぜ脱がすっ?!」
「勿論、裸エプロンをするからに決まっている。」
今からかよ?!そう心で突っ込みを入れている間にも、彼は慣れた手つきで脱がせていった。
「待てと言っているだろうがっ!!!」
ゴン!!といい音を立てて、はじめのチョップが容赦なく旦那の頭部を襲った。
「〜〜〜〜〜はじめ・・・痛い・・・」
「当たり前だ!」
ブラウスを脱がされ、ピンクのブラ(旦那が買ってきた)にスカートという格好で、はじめはウラドの前に仁王立ちした。
「いきなりやれるかっ!それに今日は、まず初詣だ!!」
「初詣は明日でも・・・」
「こんないかがわしい事をした後に、神聖な参拝などできるか!」
顔を赤くして怒り狂うはじめだが、まったく懲りない旦那は、にやりと笑いながら言った。
「そんなエロい格好をして怒ってもな?」
「っ!!あ・・・あんたのせいだろうがーーーーーっ!!!!」

「はじめ、機嫌を直せ。」
「知るかっ!」
どすどす歩く奥さんに、困った顔の旦那が後からついて行く。
最寄りの神社へ初詣。ご機嫌斜めながらも、しっかり初詣には出かける、律儀なはじめ。
「よう!二人も初詣か?」
声を掛けられ、振り向くとそこに居たのは、近所の高校生・平助。
「平助、おけおめー」
にこにこしながら、ウラドが挨拶した。いい大人なんだが、なぜか平助と気が合う彼。年下の友人と話す時は、彼ら若者と同じ言葉で会話をしている。
「ウラド、ことよろー!」
「おやおや平助、今年も元気そうだな。お年玉をあげよう。」
はっはっはっと笑いながら、懐からぽち袋。
「まじ?!やったー!さんきゅー!!」
「・・・平助、うかれるのもいいが、お前は今年受験なのではないか?」
「一君・・・正月くらいは嫌なこと思い出させんなよ・・・」
「そうそう。はじめ、今日くらいは大目に見てやれ。」
「あんたはいつも、大目にみているようだが?」
「よっ!お二人さん!」
また別の声。
「新八。おめでとう。」
「永倉さんっ!」
いきなりはじめは永倉の上着を掴み、道路の端へ引っ張って行った。
「おお?どうした?」
「あんた、ウラドに余計なこと吹き込むなっ」
聞こえないように、小声で言いながら睨む。
「あん?余計な事って?」
「エプロンだっ」
「お?おお!やったのか?!」
途端になんかやらしい笑いを浮かべる永倉。その足を思いっきり踏みつけた。
「するかっ!」
「っ!!!痛ぇ!!!」
悶絶している永倉を放置し、ウラドと平助の元へ戻って来た。元凶の永倉にお仕置きして、少しすっきりした。しかし・・・
「一君、正月から浮気?」
「なんだと!そうなのかはじめ?!」
「はあ?」
こっそり永倉と話していたせいか、平助に笑えない冗談を言われてしまった。
「ウラド〜、ちゃんとはじめ君を満足させてるのか?」
「いや、最近帰りが遅かったりで、ちょっと・・・」
「それってやばくね?」
「いい加減にしろっ!平助、お前は余計なことに首突っ込むな!」
そして旦那の方を見て
「あんたも未成年相手に、なに言ってるんだ!」
「まあまあ落ち着け、はじめ。」
よしよしと宥めるように、頭を撫でられた。
「・・・子供扱いするな。」
「それより、初詣に行くんだろう?早く行かないと混雑する。」
そう言いながら、はじめの肩を抱いて
「じゃあ、新八、平助、またな。」
手を振り、その場を去って行った。
「なんだかんだ言っても、仲良しだよな・・・」
「ああ。俺もそろそろ嫁貰おうかなぁ。」

「ふー、混んでたな。」
「いつものことだが、やはり疲れるな・・・」
お参りを済ませ、境内から少し離れた所で、暖かい物を飲みつつ休憩。
「おみくじは引いたし、お守りも買ったし・・・」
やり忘れたことはないかと、はじめが指折り確認していると
「よお、お前たちも来ていたのか。」
「土方!」
「土方さん!」
共同経営者であり、剣道部の先輩でもある土方が、二人よりも少し早く結婚した妻の千鶴といた。
「おけましておめでとうございます。」
着物を着た千鶴は、いかにも幸せそうな笑顔で挨拶した。
「おめでとう、千鶴。」
「千鶴は着物か・・・いいな、日本美人という感じで。」
可愛い妹を見るように目を細め、ウラドが頷いている。
(・・・ウラド、着物がよかったのだろうか?)
はじめとて、いつもよりおしゃれはしているが洋装だ。着物姿の千鶴を見ているウラドに、ちょっと考えてしまった。
「こら、また何かつまらんことを考えてないか?」
ウラドがそう言いながら、頬をつついてきた。
「べ、別にっ・・・」
どうしてこの男は、こうまで自分の心の機微に敏いのか。そっぽを向きながら、そう思った。
「相変わらずお前ら、仲がいいな。」
「それは土方のところだってそうだろう?」
苦笑する土方に、ウラドも微笑で答える。
「そうだ、これから俺のところで、飲まねぇか?」
土方の申し出に、ウラドがそれはいいな、言っているが
(え?!行くのかウラド?)
はじめは素直について行く気にはなれなかった。
土方のことが嫌いだとか、そういうことではない。先輩として尊敬しているし、ウラドと共同経営者として、親しくしている、友人の千鶴と結婚しているということもある。
しかし、久しぶりに二人っきりでゆっくりと過ごせる・・・と楽しみにしていたこの正月なのだった。
土方からの誘いに、ウラドはそれもいいかと思っていた。はじめだって土方のことはよく知っている仲だ。4人でわいわい言って楽しむのもアリか、と思っていたのだが・・・
くいっと服が引っ張られた。
「ん?」
振り返ると、はじめが彼の服の裾をちょっと掴みして、なにか訴えるような上目づかいで見ている。
(ちょ、はじめさんっ!その『洋服の裾をちょっと掴みして上目づかい』は、萌えるんですがっ!)
「・・・悪い、土方。」
それ以上プリティーはじめを見ていると、鼻血が出そうなので、ぐっと堪えて土方に向き直る。
「ああ?なにがだ?」
「私は神に祈った。」
いきなり神の話になり、土方は???としている。
「今年は・・・子供を作ると。」
「なんの関係があるってんだ?」
「せっかく参拝したんだ。この御利益が薄れないうちに、励んでくる。」
「!!!な、なに言ってるんだあんたはっ!」
それとなくオブラートに包んだ言い方をしてはいるが、ヤってくる!宣言。
そんな旦那に、真っ赤な顔のはじめ。
「ふふ・・・歳三さん、私たちお邪魔みたいですよ?」
にこりとほほ笑みながら千鶴が言うと、
「あー・・・そうか。じゃあ、また次の機会にするか。」
なぜか土方も少し赤くなって頷いた。

帰りもご機嫌斜めな奥さんと、こちらはご機嫌な旦那。
「まったくあんたはっ!どうして土方さんにあんなことをっ!」
「いいだろう。私たちはれっきとした夫婦だ。夜の営みは、自然な流れだとおもうが?」
「だからといって!あんなにはっきり言わずともっ!もっと別の言い方があるだろうっ!」
「へー。俺とそういうことしていると、土方に聞かれたくないような言い方だな?」
ちょっとやさぐれた旦那。言葉も「私」でなく「俺」になっている。
「っ!!!」
何を言い出すんだと言葉を失くしたはじめ。その頬をウラドが、するりと両手で包む。
「はじめ・・・私はお前が思っているより、嫉妬深い。」
「そっ、それがなんの関係が・・・」
「たとえ相手が土方でも・・・お前が土方に向ける、その眼差しに嫉妬する。」
「それは・・・土方さんへは尊敬の念しかない。」
「分かっている。わかっているけれど、それでも・・・お前の全ては私のものだ。だれにも渡さない。」
「う・・・」
自分でも、彼のものだと思ってはいたが、面と向かって真顔で言われては、恥ずかしくてどう答えたらいいかわからない。
「はじめ・・・可愛い・・・」
いまにも唇を寄せようとするウラド。
「ま、待て。ここじゃだめ・・・」
思わず、押しのけると、不満そうな顔をされた。
「外ではまずい。正月早々わいせつ罪で捕まりたくない。」
「わいせつって・・・キスくらい皆も普通にしているだろう。」
「あんたは、一度のると歯止めがきかなくなるだろうが。」
どうも今の甘い雰囲気からして、キスで済みそうにないと。
「そうだな。はじめのアノ時のエロ可愛い姿を皆に見せたくないしな。」
「そんなこと言うな!」
差し出された、ウラドの手。そっと握ると、その大きな手に優しく包まれた。
「帰ろうか、はじめ。」
「ああ・・・」
「休みの間は、お前専属だ。好きなだけ、甘えていい。・・・私が欲しければ、いつでもお前に奉仕する。」
「あ、あんたはそうやって一言多い・・・嫌じゃない・・が・・・」

「そういや、裸エプロンしてくれるんだったな!楽しみだ、はじめ。」
(っ!!!わ、忘れていた・・・・!!!)
やはり土方宅に行ったほうがよかったかも・・・と思う、はじめでした。




−−−−−−−−−−−−

新婚さん編でした!!
あ〜もうお腹いっぱいです笑

ルカ様が書く一君ほんっとに可愛いんですよ!!
えぇ、ほんとうにありがとうございました!!


20110101 東雲 



←*→


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -