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[素股]



「そんなにご褒美欲しかったのか??」

 言われた瞬間、一体何の事だと訝し気な表情を浮かべたが、少し前の会話を脳内で再生してはっと気付く。別に褒美が欲しかった訳では断じてないし、そもそも"満足したら"が最初に付いていたのではないのか…何とも釈然としない。

「いら、っ、ねぇし」

 先程飲み込んだ精液が喉に張り付いている気がして、噎せ気味に言葉を返したのが悪かった。返答に迷ったかのような間が出来たせいで、京の表情が愉快そうに歪む。しまった…そう思った時には京の腕に引き寄せられて、俺に逃げ場なんてものはなくなっていた。

「へぇ??」

「…っ、お前がヤリたいだけじゃねぇかよ!」

「はっ、そういう可愛くない事言っちゃうわけ…ふぅん」

 眇められた瞳が思案するように視線を彷徨わせるのを見て、つい憎まれ口を叩いてしまった自分の行動が墓穴を掘った事に気付く。いい加減学習しない自分の馬鹿さ加減に、誰よりも俺が自分を殴り飛ばしたい。
 京の興味を引くような事をしなければいいだけの話だというのに…どういう訳か上手く出来ない自分が居る。そもそも素直になるというのも、器用に振る舞うというのも俺には無理な気がした。

「何しても喜ぶしな、一(いち)は…どうするか」

「誰も喜んでねぇよ」

「ぷっ、わかりやすい嘘吐くなよ」

「嘘じゃねぇし」

 いちいち京の売り言葉を買ったりしなければいいのに、心の中でぼやいていればいいだけの話なのに…どういう訳か口が勝手に動く。そして口で勝てないとなると拳が出る。
 どうにも俺は昔から短気で仕方がない。馬鹿だ馬鹿だと言われるが…そんなもん、俺が一番よく知ってる。賢い人生を歩んでる奴は、そもそもこんな落ちぶれたりはしない。

「馬鹿は扱いやすくていいな、ほんと」

「ぅぐ…っ」

 自分で思っていても、他人から言われると腹が立つ。軽い挑発だと少し考えればわかることなのに、つい売られた喧嘩を買って拳が出てしまう。
 突発的な行動とはいえ、それなりに威力はある筈の拳を難なく受け止めた京に、腰を抱き竦められて軽々と持ち上げられてから後悔しても時すでに遅し…身長も体格も、他の者に比べると小さく作られた俺の身体で京に太刀打ち出来る訳もなく、まるで大人に抱え上げられる子供のように簡単に俺の身体が運ばれていく。

「ちょ、っ…ふっざけんなっ!!下ろせっ!!」

「わかったわかった。ちゃんと下ろしてやるから…ベッドに」

「っ、冗談じゃ…離せっ!!」

「すぐ着くから待てって…あまり急かすなよ」

「だから、っ、俺の話をちゃんと聞けよっ!!」

 聞こえてはいても聞く気は全くない京に、何を言ったところで意味はないとわかってはいても、素直に言うことを聞くのだけは勘弁だ。朝からの何度目かの行為に、流石の俺も流されてばかりではいられなくなった。
 そういう行為に慣れているとはいえ、何度も際限なく復活するものではない。正直、冗談でも何でもなく疲れてる。これ以上、戯れ程度のお遊びではなく本番までされてしまったら、疲労で動けなくなりそうだった。疲れて眠って、目が覚めたら夜中…では、流石に笑えない。

「やだって…っ、京!!」

「うるせぇよ、あまり騒ぐと優しくしねぇぞ」

「ぅ…っ」

「なぁ、一…お前だって、優しくされる方が好きだろ??」

 それはヤるのが前提の話ではないか、冗談じゃない。どうにか本番だけは避けたかった。だから口での奉仕もした訳で…これでは前戯の為にしたみたいだ。段々考えるのが面倒になってきて、くったりと身体の力を抜く。

「はい、到着」

「………後ろは、嫌だからな」

「つまらないこと言うなよ。まだゴネるつもりか??」

「…素股、ならいい」

「…あぁ、そういうこと」

 最後の最後の悪足掻きではあったけれど、京はそれでもいいかと納得したようだ。ケツの穴を弄くり回されるよりは断然マシだろう。下手するとネチっこくヤラれた上に、何度イカされるかわかったものではない。
 元々、俺の身体をここまで開発したのは京だ。その京相手に、まともに俺が抵抗したところで意味などない。無駄な抵抗をするくらいなら、素直に妥協案で相手をする方が楽だろう。

「まぁ、一がそれでいいなら俺は構わないけど…」

「そっちのが、楽でいい」

「楽、ねぇ…そうだといいな」

「は??ぇ、ぁ…っ」

 小さく呟かれた意味を問う前に、唇を奪われて舌を吸われた。絡められた舌が器用に口の中を蹂躙していくのを、ぶるりと身体を震わせる事で何とか堪える。無意識の内に京の服を握りしめていて、突き放すどころか引き寄せているような動きになってしまう。
 どこもかしこも俺の弱いところなど知り尽くした京に適う訳もなく、喉で喘ぎながらぼやけてきた視界の中でぼんやりと京の舌を追いかけた。

「呆けるなよ、一…ほら、ちゃんと太股に力入れろ」

「ん…っ、ぅ」

 両足を持ち上げられて、軽くクロスした脚の間に京が腰を突き入れる。声色は冷めているくせに、そちらの準備は万端のようで…太股の隙間から挿入り込んできた京の切っ先に、期待するように肩が震えた。

「ローションが必要かと思ったけど、お前の先走りだけで十分そうだな」

「ぁ、っ…ぅ、っせぇ」

「それだけの悪態が吐けるなら、まだ余裕だな」

「んっ、ぁ、あっ」

 腰から項にかけて、ぞわぞわと這いずる感覚に身震いしながら、替えたばかりのシーツを握り締める。どうせこうなるとわかっていたらシーツ交換などしなかったのに…変なところで冷静になる頭の中が、段々余裕というものをなくしていく。
 生理的に込み上げてくる涙を堪えて、必死に息を吐きながら頭を振る。睾丸から裏筋を他人の熱い雄に擦り上げられる感触に、腰が勝手にもっともっとと快感を求めて蠢いてしまう。

「挿入た方がいいんじゃないか??腰、動いてるぞ」

「や、だ…っ、これでいいっ!!」

「あ、そ」

 一瞬、物足りなさを感じているのを悟られたのかと思った。否、勘の良い京の事だから気付いてはいるだろう。しかし、気付かぬフリをするに違いない。後ろの穴が疼いて仕方がないのは事実だ。
 この状態で後孔に指でも突っ込まれたら、間違いなく俺は自分の身体を京に自由にさせるだろう。京のもので後ろを掻き回される想像をしただけで、先走りが多く零れる。それでも意地が邪魔して、これ以上を求める言葉は出てこなかった。

「は、ぁ…ぁあっ、んぅ」

「っ、はぁ…出来ればもっと締め付けが欲しいな」

「んっ、あ…も、早く…っ、イケよ」

「はっ、そこまで俺は早漏じゃないんだよ」

 京に腰を打ち付けられる度に、後ろが疼いて疼いて仕方がない。頭の中は犯されることしか考えられなくて、その想像だけで絶頂出来そうなくらいに熟れていた。口では早く終われと言いながら、後孔を激しく弄られる妄想は止まらない。この熱の塊を、狭い窄まりに無理矢理捩じ込まれたら…そこまで妄想したところで真っ白に思考が濁った。

「ぁ、あ゙…っ、んン、ぅ、ぁ゙!!」

「お前、男の自覚ある??受けとしては…まぁ、優秀だけど」

「は、っ、んぅ…んっ、はぁ」

 腰の動きが止まってたのが幸いだった。吐精した後の息を整える間、京は動きを止めたままでいてくれて…もしもそのまま動かれていたら、半狂乱で暴れてしまいそうだ。熱に魘された後のような気怠さに心地良さなどなくて、ただただ疲れて眠くなるだけ。

「一、寝るなよ」

「ん…っ、も…や、だ」

 眠気が押し寄せてくるのに、京がそれを当たり前のように邪魔してくる。横向きにされて太股を押さえられると、そのまま股の間で律動されて…シーツをきつく握り締めて、びくびくと大袈裟に震えてしまうのを必死に堪えた。意識は朦朧としているのに、感覚ばかりは鮮明で…閉じる事が出来なくなってしまった口から唾液が零れる。

「ぁ、ん…き、ょ…っ」

「………っ、無理」

「お、れも…むり」

「……」

 京の大きな溜め息は辛うじて聞こえていたが、表情まで窺う余裕は残されていなかった。射精後の眠気が我慢出来なくて、ぐったりと身体から力が抜けていく。すでに力の抜けた身体で素股をやるにはきついのか、それ以上は京が邪魔してくることはなかった。

「俺がお預け食らうとか…」

「…ん…きょ…」

「…このまま大人しく俺の抱き枕してろよ、一」

「…っ、ん…」

「一生は抱き枕にちょうどいいサイズだよな、マジで…」

 抱き込まれる感覚が朧気に伝わってきて、心地の良い温もりに無意識のまま擦り寄る。折角、昼過ぎに頑張って起こしたというのに…最後の最後の悪足掻きで小さな唸り声を上げながら、抵抗も空しく夢の中へと落ちていった。




END


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