逆転の結果 -2-

8女体化ネタ。
女体8ですが、85です。
変化の粉の使い方について捏造しております。
苦手な方はリターンお願い致します。


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スコールが女性になってから、不幸中の幸いか敵襲が殆どなく、仲間たちの身体負担は思ったほどではなかった。
しかし、身体よりも精神の負担の方がどうやら大きかったようだった。


女性になった日の翌朝、スコールは普段着用しているジャケットを脱いでTシャツ姿で城を歩いていたら、偶々出くわしたフリオニールが顔を真っ赤にして絶叫した。
スコールが来ているTシャツは胸元が大きく開いたものであるため、胸の谷間が見えたようだった。

仲間たちがその絶叫で起床し、声がした方に集まると、2人が口論をしているところだった。

「下着を着けてくれ!!」

顔を背けながら叫ぶように言い放つフリオニールに、本来は男性である自分が女性物の下着は流石に着けたくないと反抗するスコール。
双方が譲らない状態であった時に、見かねたクラウドが晒を差し出し、「これで何とかしろ。」とスコールに言ったところでなんとか決着が付いた。


またある日、探索から戻ってきたティーダとセシルが見つけてきた素材と宝が詰まった袋を抱えて広間に入ってきた時だった。
疲弊している二人を手伝おうとスコールが申し出たところ、2人にやんわりと断られてしまい、首を傾げると空気が読めないティーダが無神経な一言を言い放った。

「スコール、女の子だし、そんな細腕だと持てないっすよ!」

元々が男性であるのに非力な女の子認定をされてしまい、スコールは眉間に皺を寄せてガンブレードを取り出すと、そのままティーダに切り掛かったのだ。
言った後で地雷を踏んだと自覚したティーダは持っていた袋を放り出し、悲鳴を上げて全速力で逃げたのだが、腹の虫が治まらないスコールが追いかけ二人で城中を駆け回ることとなった。

走り回るスコールをようやく捕まえたセシルが宥めたところで事なきを得たのだが、城中は走り回った二人のせいで埃が舞い、ガンブレードを振り回したために壁や戸が一部壊れてしまい、リーダー格のウォーリアが二人に注意し、ティーダにはおまけの拳骨を脳天に食らわせた。

「気をつかっただけなのに・・・。」

小言の後、大きなこぶをさすりながら涙目でティーダが言うと、セシルがそのこぶに薬を塗りながら「もう少し、考えてから言おうね・・・スコールの心は君のこぶより痛いと思うから。」とやんわりと注意したのだった

そんな感じの出来事が数件あった上に、さらにスコールの気分を消沈させたのは意外にも想い人の存在だった。

想い人のバッツはスコールを元に戻すべく、オニオンと共に部屋に一日中引っ込んで原因調査を行っている。
初めの頃は、魔法と薬の中で何が効果的なのかを判断するために、オニオンと共に様々な回復魔法をスコールにかけて様子を観察していたのだが、どうやら魔法は効果が見込めないと判断したらしく、今度は薬で元に戻す方法がないかを模索しているようだ。

一日の大半をその部屋で過ごすため、バッツと顔を合わせる機会はほとんどなく、唯一顔が見ることができたのは食事の時くらいだった。
ただ、顔は見ることはできても会話らしい会話はほとんどしていない。

夜寝る前に少しでも一緒の時間を過ごすことはできないものか、とスコールは思ったのだが、調査用の部屋に明かりが灯っているのを見ると、とても声を掛ける気にはなれなかった。

自分を戻そうとしているのはわかるのだが、こういう時こそ互いに支え合うべきではないかと思う。
しかし、スコールの性格上そう主張することができず、黙ってバッツの様子を窺ってはため息をつくことしかできなかった。
一番心を許している相手と話をすることもできず、スコールの不安はさらに増大していったのだった。


女性になったスコール自身と、彼の体の変化などに気遣いつつも、男性として扱わなければいけないことに仲間たちが気を遣い、そろそろそれに疲れてきた時のことだった。
スコールが女性になった原因を探っていたバッツとオニオンから中間報告があると、仲間たちに大広間に集まるように召集をかけてきた。


「スコールが女になった原因だけど、どうやらこれらしいんだ。」

バッツが他の仲間たちに見せたのは、合成によく使う”変化の粉”だった。
元々、変化の粉は素材の合成で使うが、その時は人体になにも影響がなかったはずだがと、数名の仲間が疑問を口にするとオニオンが丁寧に説明を始めた。

「みんなの言うとおり、変化の粉は合成の際に、素材のつなぎとして使用するもので本来は人体には影響はないよ。けどね、今回はそれを大量に体内に取り込んだことが大きな原因なんだ。」

ね?とばかりにオニオンがバッツに確認するように顔を向けると、バッツが交代で説明をする。

「合成の際、変化の粉は使用する物質を別の物に変化させて使用することはみんな知ってるよな?素材のつなぎとなるためにその素材そのものに”変化”することもある。今回のケースはスコールの体内の内臓や細胞の一部、もしかしたら染色体のレベルで作用して変化を起こしちまったんだと思う。」

バッツと共に素材整理をしていた時、スコールは大量の素材の個数を集計していた。
彼のそばに置かれて、ティーダのボールが突っ込んだのは大量に置かれていた変化の粉だったのだ。

「変化の粉の粉塵が舞った時、おれは口元を抑えていたからほとんど吸い込まなかったけど、直撃のスコールは大量に取り込んじまったんだと思う。」

手に持っていた変化の粉の容器を揺らしながらバッツが言うと、セシルが「戻る方法はありそうなの?」と心配そうに聞いてきた。

「僕とバッツが考えた案なんだけど、一つはスコールの体内の変化の粉を取り除くこと。もう一つは変化の粉を集めて中和剤を作ること。・・・変化の粉でもう一度変化を起こすことも考えたんだけど、性別がまたうまい具合に逆転する保証はないし、細胞がどんな変化を起こすか予測がつかないからね。」

「変化の粉で変化した体にさらにそれを上乗せしたとしたら、よけいに戻れないかもしれないし、最悪、細胞が活性化して若返りを起こすか、人間じゃなくなる可能性も・・・と思うとリスクが高い。」

前のオニオンの説明にさらバッツが付け加えて仲間達に説明する。
スコールを確実に元に戻すのなら、取り除く方が確実だと2人は判断したようだった。

「では、まず我々はどうすればいい?」

リーダー格のウォーリアが二人に聞くと、バッツは手に持っていた変化の粉をみんなの前に見えやすいように見せた。

「みんなには、変化の粉をたくさん集めてもらいたいんだ。中和剤ができるまで、粉の成分を解析して、なんども試験しないといけないと思うから。」

バッツがそういうと、外に出る男性陣6名が頷いた。

「スコールは体外に粉の成分が排出されるように、水分をたくさん取ったり、体をよく動かすようにして。老廃物の排出と共に粉の効果も少しは抜けると思うから。」

オニオンがスコールの方へそういうと、スコールは無言で頷いた。

「次にすることが決まったな。明日からは外に出る場合は変化の粉集めをすることも覚えておくこと。遅くまで調査を行っていた二人のためにも、我々はできることをしよう。」

ウォーリアがそう締めくくると、全員が頷いたところで、集会は解散となった。

仲間たちが広間から出ていく最中、スコールがバッツの方の様子を窺うと、オニオンと二人で話をしている。
声を掛けない方がいいだろうと判断し、スコールは自室に戻ることにした。

「(女になってから・・・ほとんど会話らしい会話をしていないな・・・。)」

連日の調査のため、部屋でオニオンと引きこもっているバッツ。
彼らを、男性陣を手伝うことができない自分はティナと共に雑務をこなし、慣れない女性の体で四苦八苦していたことで何とか意識しないようにしていたが、女性になってからほとんどバッツと話していないことを再び思い出した。

バッツは女性になった自分をどう思っているのかわからずじまいのままで、今更になって不安になる。
スコールがため息をついて、俯き加減で部屋を出ていくところを、ジタンが一人、様子を窺っていた。

スコールが女性になってからというもの、恋仲になったにもかかわらず、二人が殆ど接触していないことに気づいていた。
普段は3人で行動するのだが、スコールは拠点居残り組、バッツは調査のため部屋に引きこもり、自分は外へ出ているためいつも以上に二人のことが気になったのだ。

無表情だが、背中に暗い影を背負ったスコールを見て、これはどうやら助け船を出してやった方がいいだろうと肩を竦めた。

「(ったく、しゃーねーな。)」

バッツといい、スコールといい、自分よりも年が上なのに、こういったことには本当に疎くて困る。
たとえ想い合っていたといても、きちんと言葉にして伝えなければいけない時もあるのに。

「(スコールはともかく、バッツも不器用なところあるよなぁ。)」

ジタンはそう心の中でごちると、オニオンとまだ話しているバッツの元に早足で向かっていった。



「じゃあ、明日からは中和剤を作るための成分解析にはいることで。」
「おう。おまえも疲れただろ?ゆっくり休めよ?」
「うん。バッツもね。」

明日からの予定を二人で確認していたらしい。
話が終わるとオニオンは軽く欠伸をし、バッツとちょうど近づいてきたジタンの二人に「おやすみ。」と挨拶すると部屋から出て行った。

オニオンが部屋から出たのを確認すると、ジタンは「なにか用か?」と首を傾げたバッツに、はぁ・・・とため息を吐いた。

「おまえ、もう少しスコールに気をつかってやれよ。」
「へ?」

なんでそんなことを言うんだとばかりの表情のバッツにジタンは呆れた表情で話を続けた。

「スコール、女の子になっちまってから相当神経すり減らしてるぞ?ほかの連中からスコールは身体は女の子だけど、本当は男、みたいな変な気の遣われかたされてさ。それなのに恋人のお前はつれねーし、見ていて哀れだぞ。」
「え、おれ、スコールが早く元に戻ってほしいからこっちに集中してて・・・。」
「おまえはおまえで頑張ってんのはわかるけどさ、スコールは甘えたり頼ったりするのが下手なのは知ってるだろ?おまえに対してもさ。面倒かもしれないけど、そっちからアクション起こしてあげることも必要なんじゃね?」

ジタンにそういわれてバッツは腕を組む。
そういえば、スコールが女性になってからというもの、ほとんど話していないことを思い出した。
元に戻してあげたいと思うあまり、寝る前の自由時間を共に過ごすことはおろか、食事の時もほとんど話していなかった。
一番不安に思っているのはスコールのはずなのに、彼を元に戻すことを最優先にしていたあまり、彼の気持ちを考えることを疎かにしてしまった。

「おれ、ちょっと反省・・・。」

しょげるバッツにジタンは軽く背を叩き、激励した。

「まあ、甘えないスコールにも問題はあるんだけどな。今日の夜くらい、あいつの部屋にでも行ってやれよ。」

苦笑するジタンに、バッツはこくりと頷くと、スコールの部屋に向かうべく、部屋を出て行った。
部屋を出ていくバッツの背を見送りながら、ジタンは「ホント、世話が焼けるよ。」と呟き、穏やかな笑みを浮かべたのだった。


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