フレンド・ライク・ミー -1-

※注意
アラビアンナイトなパロの85+9なお話。
スコールとバッツさんはお付き合い済みですが、この話にはバッツさんは話題に出ているだけで登場しません。ジタンさんがランプの精さんです。




父親から海外旅行の土産だと古く薄汚れたランプを無理やり押し付けられた。
アンティークと言えば聞こえはいいが、男子高校生が欲しがるかどうかなんて考えるまでもなくいらないの一言片付けられるものだろう。どう見ても父親が一瞬のフィーリングで決めた土産から、おとぎ話のような現実を体験することになるなんて全く思いもしなかった。

◇◇◇

「おっ!今度のご主人様は随分若いなぁ!」

一人でいたはずの部屋に見知らぬ小柄な少年がスコールを見下ろしている。
その少年は金色の髪を白い布のターバンで覆い、裸の上半身にサテンのベスト、足首のところを絞った、ゆったり膨らんだ奇妙なズボンを履いていた。腰には半月の形をした刀を下げており、一見するとアラビアンナイトの登場人物のような射手立ちである。しかも、その少年はおかしな姿に加えて尻から尾が生えており、その尾の先が床に転がっているランプの口の部分から生えているかのように繋がっていた。

「自己紹介するぜ。オレの名はランプの精のジタン。お兄さんお名前は?」
「……スコール」
「スコールか。いい名前だな。単刀直入に話すとお前が手に入れたランプは心の清い者が擦るとオレが出てきてどんな願いでも三つまで叶えてやることになっているんだ」

床に転がっている、自分と繋がっているランプを指差しながらジタンは話すと、楽しげにふわふわと宙を舞い上がる。
反射的に名前を教えてしまったが大丈夫だったかと不安になりながら、スコールは彼の姿を眺めてどのような者なのか分析しようとしたが、見れば見るほど不信感が増していくばかりである。
現代人らしくない格好に加えて体を宙に浮かせ、どんな願い事でも叶えてやると言われたこの状況をうまく処理できそうにない。思わず眉間に皺を寄せてジタンを見た後、彼の尻尾と繋がっている床に転がった中古のランプへと視線を移した。

つい数分前、スコールは中古のランプを父親からの旅行土産と押し付けられてしまい、その始末に頭を悩ませていた。
捨てたり飾りもせずにクローゼットにしまえば、自分の感情に素直な父親の性格から「せっかく選んだのに」と煩く嘆かれてしまう。そんな父親を相手にするのはとてもめんどくさい。不本意ではあるが暫くの間、わざと父親の目に付くところにランプを飾り、土産としてありがたく受け取ったことをアピールした後に時期を見て処分しよう。そう決めていざランプを飾ろうとしたのだが、あまりにも薄汚れていたので飾る前にホコリくらいは拭き取った方がいいだろうと布で拭いた瞬間、少年もといランプの精ジタンなるものが現れたのである。
近年の映画のメイク技術やCG処理を使ったようなリアルで非現実的な光景に、スコールは一度目を擦ってみたが少年の姿は消えることはなかった。むしろスコールの考えを否定するかのようにふわふわくるくるとスコールの周りを魚が泳ぐかの如く飛び回ると元気よく挨拶してきたのである。
そして現在に至る。

「……俺は夢でも見ているのだろうか?」

理解の範囲を越えた出来事に思わずスコールは呟く。
普段なら何か思うことはあっても中々口に出すことはないのに考える前に口から出てしまった。どうやら自分はこの状況をかなり驚いているらしいとスコールは改めて自覚する。
そんなスコールにジタンは「夢じゃないさ」と即答すると、スコールの両手をとった。その手からはあたたかな体温と、少年特有のゴツゴツした骨と厚みのある皮膚の質感を感じる。繋がれた手から伝わるのは精霊ではなく人の感触であるとスコールは思った。

「ほら、触れるだろ?まぁオレを初めて見たやつはみんなそう言うから、信じてくれるようにするのは慣れっこさ」

ジタンはそう言いながら、手を離すと、スコールの手の中に空の白い陶磁器のティーカップを出現させた。手の中にあるカップは滑らかで冷たい陶器の質感とほんの少しの重みを感じる。先ほど感じた手の感触とは違うが、ジタンの手とティーカップを手にとったことでこれは夢ではないことを悟った。
スコールはカップとジタンを交互に見やると、ジタンは苦笑を浮かべ、いつの間にか手に持っていたカップと揃いであろうポットをスコールのカップへと傾けて中身を注ぐ。空のカップにはハーブの香りが漂う茶が満たされ、ほのかに湯気が宙を踊るかのように舞った。そして仕上げとばかりにジタンは指先をパチンと鳴らすと、茶の中に黄金色の雫が落ち、波紋を描き、とろりと液体の中に広がった。恐らく蜂蜜か何かなのだろう。粘度のある雫は自動でくるりと茶の中を回るとやがて溶けてなくなってしまった。

「まずは茶でも飲みながら説明するな?まぁ飲めよ。……さっきも話した通り、その魔法のランプを擦ってオレを出した奴にオレはどんな願いでも三つまで叶えてやることになっている」

自分の分のカップに茶を注ぎながらジタンは話すと、カップを口元に運び、コクリと喉を鳴らして一口飲み込んだ。ただ飲んだだけなのかもしれないが、飲めと促されているように思えたのでスコールは自分の分のカップに口につけてみた。口内に広がったのはハーブの独特の香りと蜂蜜の優しい甘み。何の変哲も無い茶の味であった。非日常なこの事態に対して茶の味が普通であることが何故か心を安心させてくれた。
ほっと息を吐いて茶を飲み込むスコールにジタンは満足そうに微笑むと話を続ける。

「まぁどんな願いをと言ったけど、一応注意事項もいくつかあるんだ。願いを増やす願いは受け付けないこと。人を殺したり心を操ったりできないこと。あと死んだ人間を生き返らせることはできない。よく聞かれるのがそのあたり。とどのつまり万能では無いから願いの内容によっては難しい場合があるってことを了承してくれると助かるな」

どんな願い事と言っていたので内容によってはかなり危険なものなのではないかと思ったがある程度の制限はあるらしい。難しいものがあると濁して言っているのもおそらく悪用への牽制とランプを擦った者以外への願いによる影響をなるべく与えないようにするためなのだろう。
もっとも、ジタンが善人が擦らなければ精霊が出てこないと言っていたので悪用されることはなかったとは思うが。

「願いについての注意は……なんとなくわかった」
「そっか。まぁ願いについて質問が出てきたり、願いの内容が叶えられるものじゃない時はその都度きちんと理由は説明するからなんとなくでいいよ」

ジタンはそう言うと、自分のティーカップの茶をまた一口飲むと、「茶菓子もどうだ?」とバターの豊かな香りが漂うクッキーとメレンゲ菓子、砂糖でコーティングされたナッツが乗った大皿を出現させ、スコールのすぐそばまで宙に浮かせたまま寄越してきた。とりあえず茶でも飲みながら願いを考えてくれと言うことなのだろう。
スコールは後頭部を掻きながら、キラキラした瞳で笑いかけてくるジタンの顔を一瞥すると、小さくため息を吐きながら首を横に振った。

「とりあえず、触れたものの感触や夢にしてはここまでの流れが曖昧ではないところからこれが夢では無いことはわかった。ただ……いきなり願いを叶えてやると言われてもすぐには思いつかないのだが」
「信じてくれたのなら良かった。けど、一個も叶えて欲しい願いが思いつかないのかよ?そんな若けりゃなにかしらあるだろ?金に美味いものにでかい家にたくさんの宝石。何でもござれだぜ?」

ジタンは手のひらから金銀宝石類や高級そうなアクセサリー、豪邸や飛行機などの乗り物のミニチュアまでも手品のようにパパッと出して見せては床に放り投げる。本人が言った通り何でもござれな様子にスコールはもう何を見ても驚かないなと思いながら、ジタンにそうではないと首を横に振った。

「財はあるに越したことはないのかもしれないが、今の生活に不自由しているわけではないからな」
「なるほどなぁ。ま、見た所そこそこ裕福な家庭みたいだしな」

ジタンそう言うと床に散らばっていた金銀財宝類を一瞬で消してしまい、小さくため息を吐いた。
彼の様子から、気の利いた願いを聞けなかったのが不満なのだろうかとスコールは思い、ジタンの顔を伺うように覗くと、彼は不満というよりも困っているような、そんな表情を浮かべていた。

「願いが思い浮かばなくて悪いが……何かそれに不都合でもあるのか?」
「あー……こっちの事情で悪いんだけどさ。なんつうか、オレ、この仕事を終わらせないとランプに閉じ込められたまんまなんだよ」

ジタンのはそう言うとランプを手に取り、まるで子猫や子犬を撫でるかのように優しく、ゆっくりと摩りながら話し始めた。

「大昔に兄貴とつまんないことで喧嘩して色々やらかした罰でガーラン……っと、仕えていたえらーい魔法使いに罰としてこの魔法のランプに閉じ込められちまってな。んでその呪いは善人の願い事を沢山きいて幸せにしてやることでとけるわけ」
「そう言う事情があったのか」
「ま、そういうこった。これはこっちの事情でお前には関係ないから気にすんな。この生活にももう慣れているからさ」

ジタンは肩を竦めて笑うと「そんなことよりもお前の願いだよ!」と腰に左手を当て、右手の人差し指をスコールの鼻先に当てた。

「オレの事情は今更どうにもならないことだからな。願い事を叶え続けていたらいずれは自由の身になるんだし、このランプも元々は魔導具の一種で一応オレの魔力増幅の役には立ってくれているからな。もし今の話聞いて少しでも同情したのならさっさと願い事を考えてくれや」

先ほどの笑顔の中にあった陰りはもう見られない。ジタンは空中で胡座をかき、金銭ではないのなら中々体験できないことはどうだと旅行のパンフレットの様なものを取り出したり、束になった遊園地や映画のチケットを取り出し願いの提案を始めた。
スコールからするとジタンの姿が賑やかな分、どこか寂しげで無理をしているように見えた。
他者の願いは叶えることはできても自らの自由を得られることはできない。しかもランプを擦るものが現れなければその間はずっと一人。人とは異なる存在とは言え、もし自分自身がそんな状況に陥ったらと思うと他人事だと目を背けることはしづらかった。
願い事を叶えてやると言われたら手放しで喜ぶ者も多いだろうに、困ったことになったと思うのはジタンの状況に少なからず同情しているのだろうなとスコールは頭を掻く。暫し願いについて思案すると、軽く挙手をし、口を開く。

「……願い事だが、悩み相談をしてもらうというのはありか?」
「んんーありっちゃありだけど。けどさ、そんなのでいいのか?最初に話した通りほぼなんでもござれなのに?」
「ああ。その、中々知り合いに話しにくいこと内容で、けど意見が欲しいと思っていたからな」

いつの前にか床が体験紹介のパンフレットやチケット類で埋め尽くされていたが後で魔法で消してもらえばいいだけなので無視をする。
ジタンは小首を傾げながら大きな瞳でスコールの顔をじっと見つめると、にぃっと歯を見せ、瞳を逆かさ三日月の形に細めて笑った。

「その年で話しにくい内容って言ったら恋愛相談とかか?それとも出会いを求めているとか?」
「っ!」
「図星かーなるほど!」

人の悪い笑みを浮かべ、そうかそうかと何度も頷くジタンにスコールは若干の苛立ちを覚える。しかも何を考えていたのかを一発で当てられてしまったのも恥ずかしい。先ほどの彼の身の上への同情心がさっと別のものに塗り替えられていくほどであった。
ジタンの態度への苛立ちと羞恥心でスコールは頬を赤く染め、「図星で悪かったな」と吐き捨てて腕を組んで顔を背けた。その態度からスコールの内情をようやく悟ったらしいジタンは即座に「悪い悪い」と苦笑しながらスコールの正面へとふわりと浮かんで回り込み、正面に向かい合った。

「笑って悪かったよ。ランプに閉じ込められて数百年、今まで言われた願いの中で一番普通の若者らしい願いだなって微笑ましく思ったから思わずにやけちまった」
「悪かったな。普通で」
「いいや。いいと思うぜ?それに恋愛相談だったらこのジタン様ほど適任な奴は中々いないぞ!」

腰に手を当て、少年らしいまだ筋肉がつききってない胸をそらしながらジタンは自信満々に宣言した。
閉じ込められて数百年はあまり他者と関わりはなかったのに適任と言えるのかよとスコールは突っ込みたくはなったが、それを何とか飲み込み、「よろしく頼む」と目礼する。それに対しジタンはよしきたとばかりに両手をポンと叩いて微笑むと、両腕を前に組んで考え始める。

「さて、それじゃあ引き受けたからには詳しく聞こうじゃないか。悩みはどんな内容なんだ?詳しく聞かせてくれよ」
「……あんたの言った通り好きな奴のことなんだが……普段世話になりっぱなしだから、たまにはこちらも何かできないことはないかと悩んでいる」
「なるほどなるほど。つまりその子への愛や感謝の言葉を述べるとか?それとも今日はオレに任せろ!なデートプランを練るとか?サプライズプレゼントとかか?差し支え無ければその子の名前や性格、特徴を教えてくれよ」

ジタンは早口でまくしたてると、一人ワルツを踊っているかのようにゆらゆらと浮遊する。どうやら余程やる気があるらしい。自由を得る為と言えば当然なのだろうが。
想っている相手のことを話すのは、元々一人で何でも解決してしまうスコールからしたらかなり気恥ずかしい。しかし、そうであるが故に中々人に相談できないことを相談でき、ジタンもやる気を出してくれているようなので親身になってくれるだろう。この機会は逃してはならない。
スコールは胃からこみ上げそうになる緊張感をぐっと喉を鳴らして飲み込むとジタンに聞かれたことを返していった。

「名前はバッツ。年齢は俺よりも三つ年上の二十歳」
「おっ、年上かー自分よりも大人に憧れを持つのはわかるぜ。それでそのバッツって子は性格は大人しめ?それとも元気そうな名前に似合う明るい子?」
「……性格は表面は賑やかだが思慮深い面もある。たまに振る舞ってくれる料理が素朴だが美味い。趣味は旅行でチョコボが好きな健康的な男だ」
「ふむふむ。性格も良さそうだし料理上手で趣味もいい感……ってちょっと待て。最後の一言はオレの聞き間違いで無ければ……バッツって子はお前と同性なのか?」

今まで踊っていたジタンは突然、体を揺らすのを止め、スコールの顔を至近距離から覗き込んできた。唇は震え、瞳は揺れているのに、視線がスコールをしっかりと捉えているところから動揺を隠そうとしているのは丸わかりであった。
多少予想していたが、想い人が同性であることを知ったことでここまでわかりやすい態度をとるジタンに、スコールは内心ため息を吐くと、よく見えるようにしっかりと頷いた。

「ああ」
「ええー!野郎は専門外なんだけど!」
「引き受けておいてそれか!何でもと言っただろう!」

先ほどのやる気漲る様子から一転して見るからにがっかりした表情と手のひら返しの言葉を発するジタンにスコールは眉間にしわを寄せ、一気に眉を釣り上げる。
願いを叶えてやると言い、内容もOKを出したのはそちらだろうと文句を言ったが、ジタンは「うっわーマジかよ」、「今までの願い事の中で驚き部門トップだよ」とスコールを無視して何やらブツブツと思ったらしいこと述べている。その様子がスコールの怒りを更に煽った。

「くそっ!こっちが恥ずかしさを抑えて言ったというのに……悪かったな!」
「あ!わ、わりいわりい!中々無い相談内容に驚いちまったんだ!お前にとっちゃ真剣なことで、オレが女の子の方が大大大好きってことはこの際関係ないことだよな!」

スコールの怒りにようやく気付いたジタンは慌ててふよふよとスコールの周りを円を描くように飛び回りながら、言い訳めいた謝罪を始めた。ピリピリとした空気を纏うスコールにジタンはひたすら何度も頭を下げて謝り倒す。数分後、何とか心を落ち着けたスコールがジタンへ当てつけのような大げさなため息を一息吐き、「話を続けてもいいか?」とジタンに問うとコンマ一秒で頷き返してきた。

「話が終わらなくて良かったよ。悪かった!さぁ話を続けてくれ!」
「……調子のいい奴だな。まぁ、先ほどの話に戻るが、バッツから普段色々世話になっているから、たまには俺の方から何か返せたらと思っている。……感謝と愛情が伝わることを」
「ふむ……たとえばどんなことをしてもらっているんだい?」

普段から世話になっていると言うのなら手っ取り早いのはそれに対するお返しになるようなことをすればいいだろうと考えたらしい。
ジタンからすればバッツという人間の情報はスコールから聞く話からしかないので、バッツの普段の生活状況や性格云々から分析してアドバイスを出すよりもこちらの方が案を考えやすいのだろう。
続きを促すジタンにスコールはバッツにしてもらったことを思い出しながら話を続けた。

「例えば……外出した時は俺を退屈させないようにか色々なところへと連れて行ってくれることが多い。その他には家に呼んで、手料理を振る舞ってくれたり、話題が豊富な方だから色んな話を聞かせてくれたり……俺が中々言いにくいことでも察して話しやすいようにしてくれる」
「ふむふむ。相手の思っていることを読んでさりげなく行動してくれたり、引っ込み思案そうなお前を引っ張ってくれる頼もしい奴ってことなんだな?バッツって奴は大人で中々やるんだなー」
「まぁ……な」

ジタンのまとめから、自身の頼りなさを感じはするがそれ以上に恋人が褒められているような気がして、スコールは何となくむず痒いような気持ちになりふいっとジタンから視線をそらす。そんなスコールにジタンは柔らかく目を細めた。

「お前の話ぶりと様子から相当好きなんだと言うことはわかったよ」
「……なら良かった」
「まぁいつも与えてもらっているから何かをしたいって気持ちはオレにもわかるぜ?それじゃあお次は具体的に何をするかだな?今の話を踏まえてバッツに何をしてやりたい?」
「俺が?」
「そう。そりゃオレが本気出せば魔法でバッツって奴を調べて欲しいものとかパッと準備できるけど、お前の願いはそういうことではないだろ?多分」

ジタンの言う通り、彼にバッツの欲しいものを出してくれと頼めばそれで話はおしまいではある。しかし、それでバッツが喜んだとしても喜ばせたのはジタンの力のおかげであって自身の力というわけではない。バッツは彼自身の力で相手が喜ぶ事を色々としてくれたのだから自身が考えて、それを形にしないとお返しにはならないだろう。

「まぁ、そうだな」
「だろ?オレはお前がバッツにしてやりたいことを全力でサポートするのが願いだと思ってるよ。さてさて聞かせてくれよ。野郎は専門外だけど、恋愛に関してはオレはプロだからお前が案を生み出しやすいように話したり、それを膨らませたりすることができるぞ!あ、でもちょっとそれはどうかと思うのは遠慮なく口に出すからな?」

ジタンはにいーっと歯を出して笑うとスコールの胸を拳で軽く小突いてきた。
その行為は見知らぬ者や会ったばかりの者であれば馴々しく思うかもしれないが、スコールは不思議とそうは感じなかった。
会ってまだ間もないが、ジタンが彼なりに親身になろうとしてくれているのだと感じたからかもしれない。友達どころか、人ではないのに身近でもないのに。

「あんたは不思議な奴だな」
「どういう意味だよそれ?っと、人間からしたらオレは非現実的な存在だったな。この通り見た目中古のランプと一心同体で浮いてるし魔法使えるし不思議と言っちゃ不思議か」

腰に手を当てて笑うジタンにそういう意味ではないのだがとスコールは思ったが、楽しそうに笑っているので黙っておくことにした。
お互い表情を緩めるとバッツへのお返しについて具体的にどうするかを話し始めたのだった。


続きます。実写版アラジンが観たいです。
DFFではジタンはバッツと仲が良さそうですが、どうも原作ジタンの面倒見のいい性格から不器用で何でも一人でこなそうとする→放っておいても問題ないと思われやすそうなスコールのことを放っておかないような気がしてなりません。(バッツ抜きで色々話していたり、二人の橋渡し的なことをしたりしている姿が見たいという気持ちもあります)


[ 253/255 ]


[top][main]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -