狂気的固執



ある男がいた。


男は物を壊すことが好きだった。

綺麗に積み上げられた積み木を崩すところから始まった。


ある時は仕上がった絵画をナイフで切り裂き、

ある時は庭園に咲く花をはさみで切り落とし、

ある時は彫刻を斧で粉々に砕いた

美しく完成された物を壊すことに悦びを感じた男の行動は次第にエスカレートしていき、家を、村を、街を、国を破壊していくようになった。


最高に美しいものを壊すことで美を永遠という時の鎖に縛り封じ込めたのだと男は言った。


そんな男の前に一人の少女が現われた。

可憐で儚げな美しい少女。

外見とは裏腹に凶暴で強大な魔力を秘めた少女。



男は良い人形を手に入れたと歓喜した。


少女は男の意のままに操られ、家を、村を、街を、国を、その膨大な魔力で焼き払った。


爆発音と建物が崩壊していく音、人々の泣き叫ぶ声は最高の美術品を讃える歓喜の音楽のように男には聞こえた。


操り人形の少女を使い最高の芸術を造り永遠とする。


なんて甘美なんだと笑いが止まらなかった



しかしある日、少女は男の前から姿を消す。


人形の分際でと男は最初はわめきちらしたが次第に少女を心のそこから欲するようになる。


少女が破壊をしなければ満足しない。


自分が操る少女が紡ぎだす完成と破壊の不協和音が聴きたくて聴きたくてたまらない。


男は少女を探した。


はやくはやく…あれは僕の人形だ!!

子供じみた凶悪な狂気にかられた男がやっとの思いで少女を捜し出した時…


少女は瞳に輝きを灯し、自分に刄を向けていた


人形だと思っていたのに…


自分に刄を向ける姿は…なんと美しいのだろう!!


嗚呼…そうか…


僕に壊されるためにそんなに美しくなってくれたんだね?


最高に美しい君を壊すことで至高の美をこの手で閉じ込めることができる。


さぁ…はじめようか?

破壊の美をふたりで造り上げよう。




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ケフカとティナ
ケフカのティナに対する固執は異常ではなくて狂気。



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