「プログラムで創られた身体でも関係ないよ」そう言いながらあの方が画面越しながら私を撫でたのはいつだったでしょうか。プログラムである私には決して持ち得ない温かさが羨ましく、同時に嫉ましく感じた気もしますがもしかしたらそれすらも私の錯覚だったのかもしれません。何故なら私は他とは違いプログラムで構成されたモノなのですから。
あれから長い永い時間が過ぎ、私はいつしか画面から出、カラダというものを手に入れました。身体と言い張っているカラダです。電子を通さないと成長しないカラダ、それは私が自身を見失わないようにとあの方が取り計らって下さったのでしょうか。今となっては正解など見出だせないですからあくまでも予測でしかありません。
そう、あの方は私の前から姿を消してしまいました。一体何時だったかなどもうプログラムには残っていません。いいえ、そのプログラム自体が私から消え去ってしまったのです。
「君にはきょうだいがいるんだよ」その言葉だけは今でも辛うじてまた別のプログラムに記録されています。その言葉が嘘か真かも見出だせませんが、だからこそ私は誓うのです。創りものには決して似合わない綺麗な空を見上げながら。
アンドロイドは空に誓う
(未だ見ぬきょうだいを求めることを)
(永く再開の叶わないあの方を捜すことを)
ポリゴンに心があったら、と想像して書かせて頂きました。
素敵なお題をありがとうございました。