*食人描写ゆるいエロ有。
ガリ、ゴリ、ボリ。 襖の向こうからそんな音が聞こえる。これは何の音なのか童磨はよぉく知っている。これは、そう、誰かが食事をしている音だ。
「約束を破ったねなまえ」
ガラリと襖を開ければ案の定、予想通りの人物が居た。
「…童磨さま」
童磨の声に顔を上げたのは女…なまえだった。小さく開いた口からは牙が見え手には人の腕を持っている…それは彼女の隣に横たわり動かなくなった極楽教の信者のものだ。そしてなまえは鬼だ。童磨のような十二鬼月ではないが彼と一緒に居れば若い女の肉が食べれると思ってか位は童磨の方が上ではあるが童磨の根城に一緒に住んでいる。
「なまえ、食事をする時は一緒にって約束しただろう?」 「時間通りに戻らなかったのは童磨さまよ。私は朝から何も食べずに待っていたの、グゥグゥとお腹が鳴って苛々したけど顔にも出さずに待っていたのよ。もうお腹が空いてお腹が空いて我慢出来なくなったの」
キッと童磨を睨みつけながら血で真っ赤に染まった頬を膨らませるなまえを見て童磨はあははごめんごめんと笑う。
「あの方にお会いしていたんだよ、それで遅れてしまってね」 「…それなら仕方がないわね」
腹を空かせたなまえは機嫌がとても悪くなる。だが一足先に少しでも食べていたのと、あの方と言うは無惨の事で、彼を出された為にこれ以上童磨を責めようとはしなかった。プイと視線を手にする腕に戻して再び食事を始めた。そんななまえのすぐ隣によっこいしょと言って童磨は腰を下ろす。
「なぁ、なまえが喰べている子、俺にもおくれよ」 「駄目。これは私の。一ヶ月も前から目をつけていた愛しい子なのよ?」 「まぁそう言わずに、少しぐらい良いではないか!」 「あっ!駄目!」
そして童磨がなまえが持つ腕に手を伸ばしなまえもサッと手を上げてそれを奪われまいとする。端から見れば年頃の男女がじゃれ合っている風に見えなくもないが、二人が取り合っているのは正真正銘人間の腕…。振り回したせいで傷口からボタボタと血が滴ったが童磨もなまえもお構いなしでそれを取り合っている。
「はい、俺の勝ち」 「あっ!ん、もう、」
しばらくはそのやりとりが続いていたが男の童磨に敵うはずも無くサッと腕を取り上げられるとなまえは怒ったように眉間に皺を寄せた。
「そう怒るなよ。まだまだたくさん残っているだろう?」 「一人で全部喰べたいの」 「食いしん坊だなぁ」
だが童磨はそんななまえも気にもならない様子で奪った腕にガリと牙を立てる。本当に怒らせてしまうとなまえは厄介だから加減は必要だが、様子を見ながらなまえをからかうのはとても面白いと童磨は思っている。食事を取り上げられそれを童磨にかじられると、お菓子を取り上げられた子供のようにカッとなまえは目を見開いた。
「あっ!喰べたわね!」 「まだ一口だろ?」 「一口でも駄目」
かじり取った肉をグチグチと租借しながら微笑む童磨。だがなまえはちっとも笑ってはおらずジッと見つめて不意に童磨の頬に手の平を添える。
「あっ…」
何をするのかと黙っていれば、なまえはそのままグイと童磨の顔を引き寄せ同時に自分の唇を童磨の唇に合わせた。そして乱暴に童磨の口内に己の舌を突っ込んできて静かな部屋にグチュグチュと唾液や血が掻き回される音が響く…なまえの舌はまだ飲み込んでいない肉を探しているが次第に諦めたのか口内を弄っていた舌は童磨の舌に絡んできた。
「ん…ちゅ、ぐちゅ、」 「おいおい、それは俺の舌だぜ?」 「なんでもいいの」
なまえは夢中になって舌を動かす。口に広がった血を味わっているのか、それとも童磨にするその行為を堪能しているのか。何も言わないから分からないが時折漏れるなまえの吐息やトロトロした舌の感覚が心地良くて。
「じゃあ、俺も」
なまえを味わうことにするよ。 そう言うとゴトリと手にしていた腕を落としなまえの背中に腕を回した。そして抱き締めながらなまえに負けじと舌を絡めて彼女の口内を犯しはじめた。
←
|