「ねぇ童磨」
「なんだい月子」
「童磨は私の事を気持ち悪いと言わないのね」
「そんな事言う訳ないじゃないか、それに月子はどこも気持ち悪くないよ?」
「本当に?」
「本当だとも。月子は誰かにそんな事を言われているの?」
「…村の人達が、みんな私の事気持ち悪いって言うの、髪や瞳の色がおかしいって、近寄るなって言うの」

あの日そう言って悲しそうな顔をしていた君。

「なんだって?それは酷いね、村人達はどうしてそんなに心無い事を言うのだろうか」
「…」
「月子」
「ん…」
「月子はとても綺麗だよ、それにその髪も俺とお揃いみたいだね」
「…ありがとう、童磨」

俺がそう言えばとても嬉しそうに笑っていたっけ…。

少女の頃から儚かった月子…。

君とはいつか結婚するものだとばかり思っていたよ。

だって物心付いた頃から君の事を知っていたんだ。

お互いの母親が知り合いだから子供の頃は良く一緒に遊んだよね。

それに俺の家族があんな事になった後も一緒に居てくれた。

約束なんてしなくても二人は一緒になるものとばかり思っていたのに。

なのに君は突然、何も告げずにいなくなってしまった。

君は今どうしているのだろうか。

元気でいるのかな、幸せになっているのかな。

いや、どうしているもなにもないよね。

死んでしまったに、決まっているよ。

だって君が俺の前から姿を消したのはもう何百年と前なのだからね…。

願うならばもう一度君に会いたいと思うけど…。

それは叶わぬ、願いなんだろうなぁ…。





『慕情の末』



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