◎ 肩の噛み跡
ごり、と音がしそうなほど奥を抉られて一瞬息が止まる。
目の前がちかちかして、腰がびくびく動く。彼の手の中で達してしまった俺自身から精液がどろりと零れて、すべて出し切るように優しく上下にすられる。
「…うぁっ…ん…ぁ…」
余韻に浸る暇なく、まだ芯を持ったままの彼自身ので突き上げが始まった。
「コンラッ…ちょっと待っ…!」
「すみません、まだ俺はイっていないので」
性に関して、
淡白な男だと思っていた。
けれど、関係をもってからはすべてが間違いだと気付いた。
今日は何度で終わるのだろう。
頭の片隅でそのような事を考えていると、噛みつくように唇が塞がれた。
歯列をなぞられて、絡めるように舌を吸われる。上顎や歯茎まで舐められて、音がするほど舌を絡められて。何度も角度を変えて唇を合わせてくるのに対して、俺は流しこまれる唾液を嚥下した。
気持ち悪いとは思わない。
むしろ、気持ちよすぎて頭の奥がじんじん痺れる。
キスの間にも突き上げはやまず、いい所だけを狙ってくるそれに耐えきれず繋がれたコンラッドの手をぎゅっと握った。
「んっ、んっ…」
唇から零れる、自分のものとは思えない声を抑えられない。
ようやく離された唇からは銀糸がつたっていて、酸欠で潤む視界の中コンラッドを睨みつける。
けれど彼は自分の唇を舌で舐めて余裕で微笑むから、悔しいけどやっぱりかっこいい。
けど、悔しい。
「このっ…はんざいしゃっ!」
「…光栄ですね」
抉るように腰をまわされて、すでにたちあがって精液を零す先端を親指と人差し指でいじられて。
イきっぱなしのどうしようもない快感にどろどろに支配されて、
目の前にあった肩に噛みついた。
「…っ、…ユー、リ…痛い、んですけど」
「うるっ…はい…んぁっ!んんんっ!…あっ…!」
一際強く突き上げられて、どくりと熱いものが注がれた。全身に鳥肌がたつ。
くちゅ、といやらしい音をたてながら、彼は楽しむように腰を緩く動かしている。
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荒い呼吸を落ち着けるために、目を閉じて全身の力を抜いた。というか、力が入らない。
だるさと眠気が一気に襲ってくる。
すると彼は頬に音をたててキスをし、耳元に顔をよせて囁いた。
「ユーリ、ほら…見てください」
目を開けると、そこには彼の肩。
細く血が流れていて、すぐにそれが俺が噛みついた跡だと気付いた。
「あー…ごめん…」
見上げて呟くと、彼はふわりと嬉しそうに笑った。
「キスマークより嬉しいですよ。ユーリが、感じた証だから」
「そう…なんだ…」
「眠いですか?」
「…うん………」
「では、後処理はしますので休んでください」
「…うん………」
………できるなら、あの跡が消えなければいいのに。
瞼に落ちる唇を感じながら、
「おやすみなさい、ユーリ」
愛しい人の声を聞いて眠りに落ちた。
おやすみ、コンラッド。
end
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