僕らの冬について
はぁーっと吐いた息が白く宙に溶けていってもう冬だなぁと思う。あぁ、寒い。マフラーをぐるぐる巻きにして朝の道を歩く。冷たい空気は私の身体を芯から冷やしていくようで。ぶるり、と身震いをした。もうこんなに寒いのに冬はまだ始まったばかりで遠い春が待ち遠しい。
肩を竦めて歩いていればぽんっと叩かれて振り返ると高尾くんがいた。流石バスケ部…たとえそんなに厚着でなくてもあったかそうだ。高尾くんの周りがオレンジ色にぱぁあと輝いてる気がする。新陳代謝が活発なんだと思う。絶対そうだ。
「なまえちゃん、おっはよー」
「おはよ、高尾くん」
「なまえちゃん寒そうだなー」
「高尾くんはあったかそうだよ」
「えっ俺も寒いんだけど」
なまえちゃんおもしれぇわ、とけらけら笑う高尾くんに、あったかそうだよと口を尖らせつつ歩みを進める。
だってオレンジ色だし、言おうと思ったけどやめておいた。
「高尾くん寒いよ」
「そんな格好してるからだってーの」
「女の子の制服スカートだし」
「はいはい、じゃーこれ羽織っとけって」
頭の上にばさっと被さってきたのは見慣れたオレンジ色をしたジャージで。
「高尾くんはやっぱりあったかいよ」
今は冬だから、そんなことを理由にして思いっきり抱きついた。私のお礼とか、大好きな気持ちとか、触れたところから伝わっていけばいいと思う。