ときどき夢を見る、それは広がる大空と続く大地に湧き出る水に青々とした緑

それは断片的なものだったが、とても印象深いものだった。




 * * *







 天地、陰陽、万物より
 生まれ出でし我は「人」

 眼・耳・鼻・舌・耳・意
(ゲン・ニ・ビ・ゼツ・シン・イ)

 清浄にして邪を斬り
   明無き世を今開く



 全ての命革め
  蘇生せんことを―――


 “顕れたまえ”



 * * *





「―― 十ニ神鞘よ、今度こそ儀式が執り行なわれる。60年ぶりに私と新しき秘女王との交代の儀が ――」
「御意。新しき秘女王も我ら12人、全力をもって御加護致します ――」


その国は秘女族(ヒメゾク)の血をひく乙女が、女王に就くことによって護られていた。

秘女族の乙女がもつ“天通力”でしかこの世の神々、それは剣の姿の神“劍神”(ハヤガミ)を所持する鞘(ショウ)たちを治めることが出来ないからっと。秘女王(ヒメオウ)によって平和が保たれていたのだ。

秘女王は30年おきに交代する。しかし秘女族に娘がいなかったため、現秘女“キクリ”が引き継いだのだ。外見の姿は少女ともいえる幼子だが、実年齢は高齢と言われている。

そして、その儀式が行なわれる。


数少ない秘女族の子“アラタ”は危機に立たされていた。

長年、秘女族には女の子に恵まれず政府から男なら殺すと告げられていた為、アラタの祖母“マカリ”は男であることを隠し、政府に「女」として届け出していた。その為、儀式が行なわれることに。

アラタの一族には代々伝わる“御神体”があった。それを護るためにもアラタは死んではならんっとマカリは告げる。
男には“天通力”はない。だから、アラタが継ぐことは出来ぬ。
ほかの秘女族に娘がいないか捜している間だけでも女に化けて時間を稼いでくれと。

秘女族に仕える采女族(ウネメゾク)の“コトハ”と首都に向かえば、儀式にてそれは起こる。
“十二の劍神”を使う12人がいるなかで、その中の一人“カンナギ”が秘女王に牙を向けたのだ。
それは十ニ神鞘の裏切りだった。これは「革命」だと告げて。

十ニ神鞘の罠によりアラタは秘女王殺しの罪を着せられてしまう。逃げるアラタは神開(カンド)の森へと迷い込む。
追い掛けたカンナギは「喰われるな」と言った。森へ進めば戻って来れても、それは別の人間となると。

「…コトハ、オババ――!!」








森に喰われる。
それはあたしたちには、まだ知らない出来ごと。





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