キクリが告げたことを、革は思い出していた。
“私に代わり、そなたがこの世界を束ねて欲しい”
“私の命尽きる前にその劍神を私のところへ…”
「(マジにできるのか、俺に――)」
(革――…っ)
きっと応えられるのは革のみ。革は、必要されている。
「そう不安にならなくても大丈夫ですよ、巳束さんっ!アラタ様がいますから」
顔に出ていたのか、コトハが元気づけようとしてくれる。健気というか可愛い女の子だ。
「一緒に成し遂げましょね、アラタ様!」っとコトハが告げれば、革を見る。
「それより劍神を大事にしまっておかなきゃ!」
その言葉に、あたしと革は「「どこに?」」と思ってしまう。
「こことか?」
「ええぇぇ!革、手、手!」
コトハは革の手を掴めば、手の平にどっすっと、劍神を押し付けたのだ。革はオニと言うが「違います!鞘となる人間は劍神と一体だから、体内に入れられるんですっ」と説明をしてくれた。
「あれ、痛くない?でもやめて――っ!!」っと革は言うが「すぐ慣れますってばっ」と引き下がらなかった。あたしは、お腹を押さえてあはははっと笑っていた。
「島が見えてきましたよ、アラタ様!巳束さん!」
コトハが、海の先にある島を見つけ浮舟が近付いたことを教えてくれる。っが、革とあたしはそれどころじゃなかった。
「革、もう一回!」と引いたり押したりの劍神出し入れを、巳束にされているところだった。
「巳束、もういいだろ」と言われてしまうが意外に面白くて。
* * *
濡れ衣を着せられて送られたのはここ、ガトヤ。
“ガトヤ”それは、断崖絶壁の岩があれば、底が見えない穴がある。仕舞には周囲は海で逃げることが出来ない場所だ。岩で造られた建物に無数のパイプ。
「あとは貴様らの自由だ!ここからは二度と出られん――」この歪んだ空間の中から決してっと。
あたしたち、三人を下せば浮舟は飛び立ってしまった。建物の中心部へと足を進めればコトハに質問をした。
「コトハ“歪んだ空間”てここ、なに?」
「さあ、私も“最果ての地獄”としか――」
「え、コトハさん、それって一番奥とか端っこ?て、ことなの」
「そうなりますねっ」
秘女王のいる首都からは、大分離れた場所に革はショックを受ける。は――っとため息をつけば、RPGの主役とかってみんな頭打ったテンションだよなアレっと。
任されたこと、巻き込まれたことを考えればため息が出てしまう。
「(まずはここからの脱出!…できるかなぁ)」
「革っ?」
考え込むのが癖な革を心配すれば、革が「んな、顔すんなっ」とあたしの髪をクシャクシャにして、あははっと笑われてしまった。
「アラタ様、巳束さん、」っとコトハが言えば、奥の部屋には幾人の罪人っという人たちが、そこに居たのだ。
* * *
あたしたちをガトヤに送り込んだカンナギは、劍神の記された部屋にて革の劍神と神意を探していた。
存在されるものは、ここに記されるはずだと。火焔を己の腕から出そうとすれば眼を隠す、アカチに名を呼ばれそれを止める。
アカチにくれぐれも勝手なことはするなと言われれば、十ニ神鞘はそれぞれの領地にいったん帰るんだろうっと聞き返した。
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