「チッ!まぁ これぐらい弾き飛ばすってわけか、なるほどな」

門脇の言葉と共に“逐力”から放たれた黒い闇の炎は、革の創世によって間一髪でかわされる。あたしやコトハ、カンナギ、カナテは円形で護られその部分以外は、地割れを起こしていた。


「その“創世”は“全劍神の親”…無敵なんだってな!!
 それを俺のこの“逐力”が唯一、倒せるって訳だ!!日ノ原!!てめェと一緒にな!!」


獲物を見つけた狂犬とでもいうように叫び、門脇は刀身のある骨の塊、劍神“逐力”を構える。その言葉にカンナギは“逐力”であることと、あいつは一体なんだっと問う。

「門…脇…ッ、なんで…ッ、なんでお前が“ここ”に――!!」
「そうだよ!なんで!一体、どうして門脇がいるのッッ!?」

突如現れた門脇に向かって、革とあたしは声をあげた。

「“なんで”!?それはこっちが聞きてェな!!巳束も巻き込みやがって!!」
「門脇!!それは、違う!!あたしは、巻き込まれてなんかいない!!」
「巳束!!俺はお前には、聞いてねェ!!」

門脇は、やはりあたしの話など聞いてはくれず、革へと声をあげる。替え玉立てて、この世界に逃げ込んだといい、そんなに自分が怖かったのかよと。


「そうだよなぁ!!中学ンときから、てめーは ただの腰抜けだ!!仕舞いには、巳束を盾にしやがって!!」

あたしは、自分の拳に力を込めた。唇を噛みしめ、伝えても聞き入れてくれない言葉を飲み込んだ。革は一度たりともあたしを盾にしたことはない。

「あンときも土下座してよ!!俺らが“脱げ”っつったら泣きながらマジでやってんの!なっさけねーったらなかったぜ!!」


革の脳裏に浮かぶのは、門脇を中心にして降され続けられた学校での日々だった。逃げることしか出来なかった、中学校生活。


「それがこっちじゃ“最強の劍神の鞘”だ!?“大王”になるだ!?―――― ざっけんじゃねェよッ、クズッ!!」
「…めろ、」
「てめェは、俺の下にいりゃいーんだよ!!あンときみてェに一生這いつくばってろッ」

あまりの出来事にただ立ちつくしてしまう。門脇は顔色がどんどん悪くなっていく革へと、追い打ちをかけるように言葉を発する。恨みという、全てを。

「門脇!!いい加減にして――ッッ!!」
「巳束、なんでお前が口出すんだ…‥全部、アイツが悪いんだ!!俺の大事なもん奪いやがって、だから俺もアイツの大事なもん全部、奪ってやるッ!!」


口を出さずにはいられなかった。一方的すぎる、現実な目の前にあたしは声をあげるが、門脇の怒りを増しただけだった。
カナテやコトハが革に声を掛けようとするが、革の様子が明らかにおかしかった。


「…れ。“黙れ”」


我を忘れたような、生気のない革の顔。ただ、その声は怒りに満ちていた。
それと同時に手に持っていた“創世”に異変が起こる。宝玉の光りを失い、黒い闇を纏い始めたのだ。劍神の異変にカンナギは声をあげた。

「…これは!!」
「革!?」
「まさか…“創世”が“鬼化”した!?」

劍神“創世”の全体が黒に変わり、持つ手より革を纏うように黒い闇といえる炎を全身を包んでいた。そのまま、闇の炎は門脇へと伸びていった。
門脇は瞬時に、劍神“逐力”を肋骨のような形に変えて自分の身を護った。だが、その辺り一帯は創世の炎を受け酷い有様だった。

「“創世”が破壊した!?」
「…まずい!完全に鬼となったら止められんぞ!」
「カンナギ、鬼ってどういうこと!!」
「革ッ…」

殺傷能力のない創世が“破壊”したということは、革の憎しみ、負の心が暴走をしているという。そして、止めることが第一だとカンナギは告げる。


「―――クズはお前だ!!」


耐え難い虐め。耐え難い孤独に何年も革は蝕まれていた。全ては、門脇がもたらしたこと。


「お前のせいで…俺が何年…どんな、思いをッッ…」

「革、ダメ――ッ!!」





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