短編 ※ 中学19巻ネタ
「なーんで!こう、テストってあるんだろうー」
「確かに、テストだりーなー」
「ちょ、巳束も門脇も!ホラ、ちゃんとやろーよ」
あたしはベットに横になって雑誌を読み、門脇は「あー勉強とか、いーから走りてー」と言って、ベットに寄り掛かり、手をバタつかせていた。
「確かにー!」っとあたしは口にし、読んでいた雑誌を広げたまま門脇の頭に乗せる。
いきなり乗った雑誌で、視界が暗くなれば「ぶへぇっ」と声をあげて身体を反転させた。ベットの上で、頬杖をつきながらニッと笑って見せれば門脇が声をあげた。
「おい!巳束!」
「いやー。良い位置に頭があって、乗りそうだなぁーって思って」
その様子に、「はぁ―――」っと革の盛大な溜め息が部屋に響いた。そして「お前ら、俺に英語教えてって言わなかったか?」っと口にする。
「だってぇ、飽きた。っていうか、わっから―ん!」
ベットにバサッと目を瞑りながら、仰向けに身体を落とせば「…巳束、寝るな」っと、門脇の声とギシっとスプリングの音が耳に届いた。
直後に聞こえたのが「お前もだ――!!」っと、怒る革と門脇の「イテェエエ」っと言う声に身体を起こせば、立ち上がっている革と背中を擦る門脇が目に映る。
「え?何、何、」
「巳束は、気にするな!っていうか、やらないなら…お前ら、もう宿題とか手伝わないからな!」
「いや、革!それは困る!門脇は?」
「いー、今は」
テーブルに広がった教科書やらノートの目の前に座りなおせば、革が門脇をチラッと顔を見る。「てめぇ、蹴りやがって。冗談っつうの分かるだろうが」っと門脇は小声で呟いていた。
革から差しだされたノートを、書き写せば「な、な、中断していーもん観よーぜ」っと門脇が、革とあたしに声を掛ける。
「え!?ま、まさか!」
「ちょっと!!あたし居るんですけど!?」
革はハッと顔をあげ、門脇に問い掛ける。その行動にまさかのアレとか、そういうのを考えれば門脇は鼻で笑う。
「バッカ、なに考えてんだよ。こないだの国体の…」
「だよねー!門脇は革と違うもんねー!」
「そうそう、こいつ絶対やらしーの考えてた」
肩をガクッと落とす革に「ほら、見る準備すっからそこの教科書閉じろよ」っと門脇が声を掛ければ「おぉう!」っと口にした。空いたスペースには、陸上に関する参考資料っといった本が変わりに置かれた。
あたしたちは、テレビに釘付けになって国体の映像を観て陸上の話をする。「ここのフォームが違うのか」っと言ったり「門脇!コレなんか、参考になるんじゃないか?」っと言って。
「放課後の部活出来ないときは、やっぱ朝練かなー」
「マジで!?何時置き!?」
「日ノ原、付き合わなくても別にいーぞ」
「いーって、俺も走りたいんだし」
楽しそうな会話に、はーいっと手をあげて「2人とも!あたしを忘れてる」っと声をあげれば「「忘れてない」」っと揃って返された。
「よし!そんじゃ、日ノ原モーニングコールたのんだ!」
「お!革、あたしにもよろしく!」
「おい、お前ら!なんだよ、それ!ひとりで起きろ!」
「「無理!!」」
* * *
「…――― 巳束、起きろ」
目に飛び込んでくるのは、空の青と木々の色。そして、革。
「夢?」
「どうした?巳束」
首を横に振って「何でもないよ」っと答えれば、革が「コトハたちが待ってるから、行くぞ」っと口にした。
「あ、うん!わかった」
(………革も、門脇も、笑っていた)
夢、あの頃の記憶
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