「あれ?」
「捺夏……、ひょっとして黒子っちたちと観に来たんスか?」

I・H準々決勝、10分間のインターバル、外の空気を吸っていれば二人目の意外な人物に遭遇した。まぁ、先ほど黒子っちに会ったので何となく理由はつく。
だけど、嬉しい。毎日でも、会いたい人だから。


「違うよ、散歩」
「散歩って、ここ捺夏の家から遠いんスけど」
「それは、知ってる。近くで合宿の手伝いさせられて、連れて来られたんだけど帰るにもバス代無いから皆が来るの待ってんの」
「何っスか、その理由ッ!?」

腹を抱えて笑う俺に、無理矢理連行されたんだからお財布とか持って来れなかったのと捺夏は告げる。
いつも、気付いたら居なくなっていて、掴まえられない捺夏を連行するとは――――


「なかなかの監督さんっスね」
「そりゃあ、誠凛 男子バスケ部の監督ですから」


空を見上げ、ん――っと伸びをする。今日も清々しい青空だ。それと同じくらいに俺も比例している。
きっと、あの瞬間から霧がかった気持ちが晴れていた。


「俺、やめたっス。憧れるのを……だから、観ててほしい。捺夏に」




この熱が冷めるまで、
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