まさか、またこの目で見てしまうとは。
でも、当たり前のことだった。バスケットボール部に関わっていればいつかは訪れるとは思っていた。

 * * *

どんなに断っても諦めてくれはしなかったリコと、試合前に会いに来たさつきに泣かれてこともあってマネージャーとしてベンチに入った。

ずっと、スコアブックに目を落としていればいいと思っていた。きっと、あいつは気付かない。
リコに呼ばれて顔を上げれば、目が合ってしまった。視線が痛い。

「……大輝っ」
「捺夏」


コートを挟んでの距離、声は届かないはずなのに名前を呼ばれたことは分かった。あたしを見つめる大輝は、動かない。
一分一秒が長く感じてしまう。気付いたら、頬には一筋の雫が流れていた。


(早く、試合が終了するブザーを……・・)


そう思ったのは初めてだった。試合に集中をしなくてはいけないのに。


「捺夏!!アンタ、大丈夫!!」
「ん、なんともないよ。リコ、それよりも何?」





涙一つで終わらせて
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