「………・・」
「……………」
「ねえ?なんで黄瀬はここに居るの」
「居たいから……・・じゃ、ダメっすか?」

目の前の作業に没頭していれば視線を感じて驚いた。居るとは思わない人物に、頬杖をつきながら眺められていた。

「モデルで人気者の海常のエースが、誠凛に居たら変でしょ。他校生が」
「う……ヒドいっス」

いくら人がいない時間帯だからと言っても、他校生が本校にいることはよくないことだろう。そもそも、ここに黄瀬がいること事態、おかしいのだが。

「帰り道に黒子っちに会ったんスけど、捺夏がまだ学校にいるって聞いたんスよ」
「だからって来る意味が分からないんだけどなぁ」
「いいじゃないっスか。見たかったんスよ」

その言葉に、ん?と顔を上げれば寂しそうに笑う黄瀬がいる。高校生としての捺夏をっという、その声は切なそうだった。

(俺の知らない捺夏を、黒子っちだけ知っているのはズルいっすよ)

高校生活を捺夏と一緒に過ごして同じ空を見て帰りたいっという気持ちが溢れて、気付いたらここに来ていた。


「あと、少しだから。帰りにアイスおごってね!」
「いいっスよ!!」


その言葉に俺の気持ちが浮上する。捺夏は、まためんどくさそうに日誌に取り掛かった。適当にやればいいのに、真面目な部分が変わってなくて俺は嬉しかった。

(……あ、中学と変わらない同じ字っスね)




空に焦がれたさかな
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