「大輝―――――ッッ!!」


中学ン時、いつも 一番最初に俺を見つけるのはお前だった。空を眺めてれば、仰ぐように聞こえてくる捺夏の声。

「あん?」
「さつきが、捜してたよ。アンタ、また1軍練習サボってんでしょ」
「サボってねえよ。休憩だ、休憩」

退屈だからとサボることが増えていた。試合で、結果として出していれば文句をいう奴なんていなかった。
気付けば捺夏が屋上にある梯子を上って、俺が横たわっている場所へと来る。風に吹かれて髪やスカートが揺れる。もう少しで見れそうな気もするが、残念なことにそこまで捲り上がらない。

「それが、サボりってこと」
「そんなに気になるんなら、お前が見張りに来ればいいだろうが」
「あたしは、監督と赤司に2軍と3軍を見るようにって言われてんの。そんな暇はないって」

退屈な理由は、きっとここにあった。俺の視界にお前がいないことだ。

「じゃあ、俺が行ってやるよ」
「はっ!?1軍の練習は!?」
「いいだろ?お前ともバスケしてェしな!」

俺は、一緒にやれるのがお前も嬉しいことを知っていた。否定しない捺夏の腕を引っ張って屋上を下りた。


退屈なんて、お前がいれば感じなかった。


 * * *


黄瀬との対決の最後に、アイツの姿を見た。ダンクをぶちかまし、跳んだときに見えた捺夏の姿。だが、試合終了とともにその姿はなかった。
幻かと思えるぐらいに一瞬だったが、俺が見間違えるはずがねぇ。


「…‥‥捺夏ッ」


なんで、俺の視界に、俺のそばにお前がいないんだよ。捺夏 ―――



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