立ちはだかる魔物へ迷うことなく飛び込み、その剣捌きは光の螺旋を描く。長く太陽よりも眩しい金の髪を風になびかせ、剣を収めれば魔物は地へと平伏した。
「やっぱりミラに似てる」
そう言ったのは誰だろう。けれど俺は、目の前にいるミラしか知らない。分史世界から連れてきてしまった、彼女しか。
倒れた魔物の群れを超えてミラはこちらへと戻ってくる。その足取りは堂々とした精霊の主という名にふさわしく、けれどどこか憂いを帯びた瞳は紛れもない人のもの。
「凄いな、ミラ。まるで、」
「ミラみたいだって、言いたいの?」
あなたも、と棘のある言葉でミラは睨む。違う、とかぶりを振って見せても納得のいかない表情は消えないままだった。
確かに、ミラみたいなんだろう。誰の声だったかはもう分からないけれど、ミラを知る誰かがそう言ったのだから。だけど、俺はミラを知らない。魔物に立ち向かう姿は勇ましく、いっそ楽しそうでもあるミラの姿しかこの目に映したことがない。
「まるで、舞を見てるみたいだった」
赤い瞳に負けないよう、じっと見つめて返せば、ミラは呆然とする。そうして瞬きを二回繰り返すと、ふ、と小さく噴き出した。
「……ふふ、何よそれ」
口説いてるつもりならまだまだね、と笑うミラも、俺の知らないミラと似ているのかは分からないけれど。
「綺麗だよ」
「下手ね」
おかしそうに言う君が、誰よりも。



>>2013/02/10
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