Beginning - ネズミの国には何がある?

@入場ゲート

一条「皆さん、着きましたよ」
旭「何処ここ」
焔「ネズミの国だ」
旭「なんでネズミの国? ……学校は?」
白木「ダブルデートですよ。さあ乙葉旭、行きましょう。ではみなさん、またランチのときに」
焔「ちょっ! 白木! おまえどっから湧いた! ってか別行動かよ! 旭!」
一条「待ちなさい。貴方は私と一緒ですよ」


@観覧席

白木「次はショー観ましょう。あと五分で始まります。ちょうど良い」
旭「はい」
白「お昼の前にもう一ついけそうですね。これ見終わったらイッツアビッグワールド行きますか。待ち時間もないみたいですよ、ほら。このアプリでわかるんです。便利な世の中ですね」
旭「はい」
白「喉渇きませんか? お茶をどうぞ。生憎ペットボトルですが」
旭「……白木先生って保父さんあるいは母親みたいですね」
白「養護教諭ですから」


@ホーンテッドアパート

焔「なんか暗いんだけど」
一条「ホーンテッドアパートですから」
焔「なんか距離、近いんだけど」
一条「さすがに大の男が二人も乗ると狭いですね」
焔「なんで男二人なわけ? 旭と来たかった」
一条「旭様も男性ですよ」
焔「あいつは特別なの」
一条「私も貴方の特別になりたいです」
焔「あ! あそこに幽霊発見! あれ? なんか言ったか?」


@レストラン

焔「一条のやつ、なんか暗いのばっか乗せやがってさ。根暗なんだな。あるいは眷属だった頃の恨みだな」
旭「一条さんってそんな人じゃないと思うけど」
白木「そちらは苦労されているようだ」
一条「大きなお世話ですよ。そう言うそちらの首尾は?」
白木「普通ですよ」
旭「これ買ってもらった」
焔「ミッチーの耳いいなあ。似合うなあ」
旭「焔も一条さんに買ってもらえば?」
焔「いらねぇし!」
白木「即答でしたね」
一条「……」(←少し寂しい)


@サンデレラ城前

白木「だいぶ陽が暮れてきましたね。寒くないですか?」
旭「……近くにいた方が楽だからですか?」
白木「なんの話ですか?」
旭「こんなところに遊びに来て、食事したり、お土産を買ってくれたり……いくら監視役だからってやりすぎです」
白木「今日は休暇ですよ。乙葉旭の監視もお休みです」
旭「じゃあ何のために?」
白木「楽しくなかったですか?」
旭「え?」
白木「楽しかったですよ。君と一緒でとても楽しかった」
旭「先生はネズミの国が好きなんですか?」
白木「そういうことにしておいてもいいです」
旭「意味がわからないんですけど」
白木「ほら、見てごらんなさい。パークに明かりが灯りましたよ」
旭「あ……ほんとだ……綺麗、ですね……優しい灯りだ」
白木「君も綺麗です」
旭「何いってるんですか、僕なんて」
白木「心の問題です」
旭「中身だって汚れてる」
白木「君は綺麗ですよ」
旭「……白木先生のそういうとこ、嫌いです」
白木「どういたしまして」
旭「ぜんぜん褒めてませんし」
白木「私は好きですよ、君のそういうところ」
旭「あ……」(※要妄想)
白木「少しだけこのままで」
旭「……」
白木「夜のパレードは皆で観ましょう」
旭「はい」


@中央広場

焔「あれ? 旭だ。一人じゃね? 白木はどうしたんだよ」
一条「ほんとに貴方は旭様中心ですね。あの方はご自分の身はご自分で守れますよ。旭様の力は紫葉家の誰をも凌ぐ」
焔「そんなことは俺が一番わかってんだよ。俺がダメなんだよ!……ってなんでお前にこんなことしゃべってんだ俺。あ〜もう!」
一条「……夜のパレードは皆で観ましょうか」
焔「当たり前だろ」
一条「ほんとにムカつきますね」
焔「え? ちょっ、何すん…んん!」(※要妄想)
一条「今日はこのくらいで勘弁してあげます」
焔「ふ、ざけんな!」
一条「声、裏返ってますよ」
焔「お前! いくら眷属が嫌だったからって嫌がらせにもほどがあるだろ! 旭んとこ行ってくる!」
一条「繊細なのか鈍いのか……」


@パレード

旭「綺麗だね。踊ってる人も、観てる人も、みんな楽しそう」
焔「おまえは楽しかったか?」
旭「まあね。メンバーはびっくりしたけど」
焔「それは俺も想定外だった」
旭「もしかして焔の企画だったの?」
焔「入学初日から迷惑かけたし、そのお詫びっつうか。ほんとは栞子誘ったんだけど、今日は家の用事があるってさ」
旭「そっか」
焔「なんか悪かったな。白木なんかと二人きりにさせて。なんにもなかったか?」
旭「別に何もなかったよ。白木先生、案内がうまくてさ、乗り物とかショーとか、ほとんど並ばなかったよ。隠れミッチーとか教えてくれた。ネズミの国が好きみたい。意外だね」
焔「いい大人が。恥ずかしいヤツ」
旭「でも焔も楽しそうだったよ。一条さんと一緒のとこ見かけたけど、仲よさそうだった」
焔「はあ? おまえ、視力検査した方がいいんじゃね?」
旭「じゃあ白木先生に視て貰おうかな」
焔「なんだよ、おまえだって白木と仲良くやってんじゃねえか」
旭「そうだね、嫌いじゃないみたいだ」
焔「そうか」
旭「……なんか不思議だね。あやかしと人がこんなところに一緒にいてパレードとか見てるなんてさ」
焔「あやかしだって、楽しいとか綺麗とか、そういうのわかるんだぜ」
旭「好きとかも?」
焔「個体にもよるけどな」
旭「焔は?」
焔「まあ、わかる、かな」
旭「一条さんとうまくいくといいね」
焔「はっ? だ、誰があんなヤツ! 好きでもなんでもねえし!」
旭「顔赤いよ。何かあった?」
焔「何もねえよ! ほらパレード見ろ! 大事なとこだぞ」
旭「……焔が誰を好きになっても、僕は焔と一緒にいるからね」
焔「当たり前だ、バカ」


白木「仲いいですね、この二人」
一条「旭様が生まれる前からべったりだったと聞いてます」
白木「あやかしには暗闇の中の灯火に見えるんでしょう」
一条「旭様ですよね。あの方は本当に不思議な方です。何故だかあやかしを引きつける」
白木「私もですよ」
一条「それは聞き捨てなりませんね。旭様はうちのお嬢様の伴侶となる方、やましいお気持ちなら断固、阻止させて頂きます」
白木「心得ておきましょう……それにしても、いい夜だ。そう思いませんか?」
一条「不本意ですが、同感です」
白木「ネズミの国には夢がある。一夜限りだとしてもいいものです」
一条「……意外に乙女チックですね」

ネズミの国にはなにがある?
一夜限りの夢がある。
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -