筆業師の日常004

 深く垂れ込めた冬の雲が早い夜を連れてきた。
 店の硝子戸の向こうを緩々と過ぎった者と視線が絡む。
 ぢりと身の内が焼ける。
 その瞬間、偽りの世界が終幕した。
 使者の手が私を掴む。
「さあ還りましょう、貴女の本当の世界へ」
 傍らに眠る小さな温もりに、もう一度触れる間もなかった。

やなは、文中に『瞬間』を入れて【決意】をイメージした140文字作文を書いて下さい。 #140SS http://shindanmaker.com/210384 千年周のお母さんシリーズで。
( 2013.12.09 #140SS)
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