乙葉家の日常004「凍て風」

「雪、消えればいいのに」
「消してやろうか?」
 焔は返事も待たず縁側の窓を開け放った。翳した右手が凍て風を集める。大気が彼を抱き、天の力を分け与える。
 瞬き一つの間、雪は消えていた。
「野鳥のためだろ?お前は優しいな」
 あやかしが笑う。
 その紫の瞳は子供のように煌めいて、僕を鷲掴みにした。

(2014.02.12)
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