今日は残業なしで、8時に駅の横の居酒屋集合ね。
・・・先ほどの休憩で人事部にフラリと訪ねた、その時に蒲原から告げられた一言。
「・・・なんかあったっけ」
・・・・・・・・
「いじめか、いじめなのか、これ?」
終業直前に、蒲原に外回りにつき合わされ、製造部のロッカー別だから、と別れた隙に置いてけぼりにされた西山。
玄関ロビーのデスクには一枚のメモ。
『おいてけぼり食わせてゴメンねー
とりあえず店の名前と場所、このメモの裏に書いておいたから、受付で名前言っていれてもらって。
電気消して、鍵閉めてきてよ! 蒲原 』
「まぁ行くか」
ため息をついて、外に出る。
一昨日の雪のせいで、路面はまるでスケートリンク。
池袋とはいえ、裏路地は雪かきの範囲外だったようだ。
「いらっしゃいませ」
指定された店、そこはしゃれたレストランだった。
「・・・居酒屋じゃないし」
実際のところ、居酒屋にあのメンバーで行くとろくなことにはならない、が、それなりに楽しい。いや、にぎやかだ。
「ことにこの前なんか珍しく薫さん酔ってたし」
蒲原薫は、絡み酒。
普段はセーブしていただけに新発見だ。
「すいません、西山なんですが」
「あ、豊橋商事の西山様ですね?お部屋にご案内いたします」
・・・・。
部屋・・・・だと?
店員は承知しているようで、品のいい店内をすべるように案内していく。
ひとつの個室の前で立ち止まり、ノック。
中から開けられたドア、しかし西山の立っている位置からではそれが誰だか特定できない。
「では、お入りください」
にこ、と微笑んで、店員は去っていく。
実に不吉な笑顔。
ありがとうございました、とお辞儀をして、ドアノブに手をかけた。
ガチャ。
西山、誕生日おめでとう!!
(うわああああ)
(驚いた?ねえ驚いた??)
(おまえ・・・はしゃぎすぎ・・・)
(・・・・(白目))
(あれ?西山?大丈夫??)
(クラッカー音大きかったんじゃない?)
(あ、ごめんこいつの耳元でならしたの自分だ)
(・・・なにしてんだよ榊・・・・)
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