さぁさ皆さん!授業の時間ですから席に着いてくださいな!
(これで質問攻めから解放される…!)


「ーで、だからここは〜」
「………」
「………」


えーおほん。現在の状況を簡潔に説明するとですね、授業中な訳です。
なのに私は授業どころじゃありません。何故かというと隣。そう私の隣の席の


「じゃあナカジ、ここ解いてみろ」
「…はい」


そう!さっきはクラスの質問攻めとハヤトの登場に気が付かなかったけれどなんと私の隣はあのナカジ…!
マフラーにメガネ、さすがに帽子はとっているけどナカジ。ナカジは先生に当てられて黒板にきっちり答えを書いている。


「よし正解だ戻っていいぞ」


ナカジの答えをみて頷いた先生を確認するとナカジは再び席へ戻る。
こっちに向かって歩いてくる。いくらナカジ好きだからと言ってガン見出来ないのが悩みなんだよね…。
授業中もちらちらと隣に視線を移す。私の思いはただひとつ。


「(ナカジの素顔、見たい…!)」


そりゃ誰もが一度は思うナカジの素顔を私も見たい!その逆光なメガネの下が、気になる…!
だけど初対面な転校生にいきなり「素顔見せて」だなんて聞かれても98%答えはNOだろう。ちなみに残りの2%は奇跡か何か。
だとしたらまずは仲良くなる事が先決!素顔以前にナカジとは仲良くなりたかったし。あの詞独特で本当好きなんだよねー。
そんな風にぼへーと世界に浸ってると、つんつんと肩を叩かれた。
ん?と思いそちらを向けばナカジが私の肩を叩き「前。当てられてる」と囁いた。


「え!?あ、えっと?」


ナカジとの至近距離+世界に浸って授業聞いていなかった焦りで教科書を急いでめくる。
しかし今いったい何処を指されたのかも分からないので頭はひたすらパニックパニック。


「54ページ」


ぼそっとナカジが教えてくれたのが聞こえた。急いで54ページを開いていざ答え!


キーンコーンカーンコーン


「……へ?」


と思った瞬間、何とも素敵なタイミングで授業終了の鐘が鳴った。
そして何とも間抜けな声を出してしまった自分が恥ずかしい…あぁみんな大爆笑だよ。いや、うん笑うのは良いよ笑う門には福来るだもんね。


「じゃあ今日の授業はここまで。風宮、次はしっかり授業聞いておけよ!」


更なる先生の追い打ちにクラスはそれはもう大きな笑いに包まれる。前の席のハヤトまでお腹押さえて笑ってるよ…もうどうにでもなれ!


「あ、あのナカジ…君、教えてくれたのに答えられなくてごめんね」


とりあえず止まない笑い声は後にしてこっそり教えてくれたナカジに感謝を述べる。危うく呼び捨てにする所だった…危ない危ない。


「別に…構わない。…それと」
「それと?」

ぼそぼそと言うナカジに続きが気になり復唱する。
2、3秒程の沈黙の後に、ナカジはいきなり立ち上がり帽子を被った。


「『君』は付けなくていい」


それだけ残すと、ナカジは足早に教室を去ってしまった。
え、え、今の夢?ナカジが君付けいらないって、え?あれ、そんな性格だったかなナカジ…てっきり仲の良い人以外そーゆうの駄目だと思ってたのに。


「リナ、全部顔に出てるよ」
「うそん!?」


椅子に肘を掛けさらりと言うハヤトに軽くショックを受ける。


「ナカジの奴、リナと仲良くなりたいのかもよ?」


ええぇぇえ!?
ナカジが私と!?そそそそれは嬉しいけれど何故また私なんかと…!あ、そうか転校生だからか。
転校生だからか。その結論に辿り着くと可笑しな位冷静になった自分がいた。
いやはや、先程のテンションはぬか喜びですか。
まぁでもナカジと仲良くなれるならそれでよし!


「(ぷっリナってば忙しいなぁ…。にしても、ナカジ…珍しい事もあるんだな)」


半ば一人百面相なリナをみて、ハヤトは先程のナカジの言動を思い出す。自分からあんな風に人に近づくなんて珍しすぎる。タローに教えてやりたい。
じゃあ何でナカジはあんな事を?


「(もしかして、リナに興味を持ったとか…)」


……………。
十分納得の出来てしまう答えに行き着いたハヤトは実に疲れたような表情でため息をついた。


「(俺…いくら面白い奴だからって、なんであんな事)」


また別の場所でナカジも、ため息をついたのだった。





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