子供の頃の夢みたいに



「結婚式はね、ミルヒ姫様のライブがあって、勇者様達も居て、薄い青のドレスが良いの」

「…急にどうしたんだぁ?」



私が思い思いの"理想の結婚式"を浮かべて熱く語っていると、ガウルは逆に冷めた様な態度で困惑を顔に出していた。



「急じゃないよ、私ずっと思ってたもの」



ガウルと出会った時、すなわち物心付いた時から。私とガウルは将来結ばれることを約束された許婚だった。
幼い頃はそれがどんなものかも深く考えず知らずに一緒に楽しく居たものだが、歳を重ねれば好きな人との将来位は、おのずと考えるようになる。
かくいう私も、数年くらい前からガウルとの結婚のビジョンは想像していた。想像してきた結果がさっきの理想なのだ。
ガレットのみんなに祝福されて、レオお姉様やミルヒ姫様やリコッタ、勇者のナナミやシンクに式に参加して貰って。ガレットの色である薄い青のドレスに、ガウルも同じ色のタキシード。海の近くの教会で中に入るとガウルが待っててくれて――



「わーった分かった!俺様が全部叶えてやんよ」

「本当?」



頭をぽんぽんと叩かれ、やや強引に話を打ち切られたのが不満で、隠さずに口を尖らせて聞き返す。



「あったりめーだろ!俺を誰だと思ってるんだよ!」



頭に置かれてた手がわしゃわしゃと撫で回され、得意気な笑顔で結局はいつもの様に宥められる。ガウルのこれに、私はいつも適わない。
嬉しさと少しの悔しさと恥ずかしさでガウルから視線を逸らしたら、ふと気付いたようにガウルが口を開いた。



「お前、俺にこうされるといっつもその顔すんな!」



耳に言葉が入った瞬間に首から顔が熱くなり、顔全体を覆った時は涙目でガウルにバカ!としか反論出来なくなっていた。





子供の頃の夢みたいに

本当は結婚式なんて挙げなくても、ずっと一緒に居られれば十分なのです。


+++
お題提供元:HENC
ガウ様大好き!うっかり犬日々見たらうっかりガウ様に落ちました系女子ですどうも。
犬日々夢の需要も供給も少なすぎない…?また自給自足…?
(2014/01/21)



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -