影向日葵
※百合夢注意(明るくない)
ボクは気付いてしまったんだ。
ずっと一緒に居て、ずっと好きだったけど、その「好き」が普通の好きじゃないことに。
「あっ!アルル」
「ごめんねナマエ!今急いでるんだ!」
「そ、そっか…」
ボクは女の子で、あの子も女の子。こんなこと、可笑しい。
いつも一緒だった君が大好きだから、君から離れればこんな気持ち嘘だったって気付ける。そう思ってボクは今日も走って逃げる。
いつも君が笑っていた隣がやけに寂しく思えるけど、でも、こんな気持ちを知られたら笑ってくれなくなっちゃう。だからボクの中で、ひっそり息を殺さなければいけないんだ。
息が詰まるような繰り返し、きっとこれで良いんだ。
「アルルは私のこと、嫌いになった?」
な…んで、君がそんな悲しそうな顔をするの?
ボクがナマエを嫌いになるはずないじゃないか、なのに何で、そんな顔をしないでよ。
「ずっとまともに話してくれないし、すぐにどっか逃げちゃうし…」
「そ、それは…」
核心を避ければ避けるほど、瞳には涙が溜まっていく。そんな顔をさせたくなかったのに、させたくないからこうしたのに、うまくいかないなぁ。
「……ボクは、ナマエの事好き、だよ」
今、ボクはどんな顔をしているんだろう。嫌いになってない?と尋ねられても、もちろん。としか言えない。
涙はぽろぽろと零れるけど、いつもの花が咲くような笑顔にゆっくりと戻っていく。あぁ、ボクはこの笑顔に弱いんだ。
「私もアルルのこと、好き」
ふわりと包まれた両手は、何だか前よりもあたたかく感じられて、思わず涙が出そうになった。
君の気持ちはボクと同じかわからないけれど、どちらにせよ、ボクには君のあたたかさが必要不可欠みたいだ。
久しぶりに繋いだ手は、何もかもが解される様で、やっぱり君の隣が一番なんだとこっそり再確認をした。
影向日葵
影も日向に寄り添ってる
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なんだか申し訳ないような気もしつつアルルと百合百合したい願望が止まらなかった結果。アルル好き…
(2014/01/21)