何てことない幸せ



早朝特有の澄んだ空気と、それを包む柔らかい日差し。
典型的な朝の様に、鳥達の小さな声に起こされるように目を覚ました。




「……ん」




まだ重みの掛かる目蓋を押し上げて、辺りの状況を確認する。
一番初めに視界に飛び込んできたのは、自分の腕の中で満足気に夢を見てるナマエ。

未だ夢心地なナマエを起こさぬ様に、その頬にそっと触れる。指先は頬から上って耳の上、後頭部へと移動して、最終的に頭を撫でる形となった。


触れるひとつひとつがほんのりと暖かくて、自分もまだ夢のなかに居るように思えてくる。




「(6年前のオレは、こんな風になるなんて思ってなかっただろうな)」




出会った時より幾分も大人になったナマエの顔をぼんやりと見ながら、ふっと薄く笑う。
小さく動いて唇を額に寄せて抱き込めば、さすがに起きるかと思った通りにナマエが小さく口を動かした。




「アル…ヴィス…?」




ぼーっとした目で夢から覚めたナマエに、アルヴィスは視線を合わせておはようと答える。




「おはよう…ーん…」




眠たい目を擦るが、まだ眠たいのか動作がぎこちない。仕舞には、アルヴィスの首に手を回して甘えるようにすり寄った。




「まだ眠いか?」

「ううん…大丈夫……だけど…」




あとちょっと、このまま…とアルヴィスに返答したナマエを仕方ないな。とほほ笑み、彼は再び彼女を腕に閉じ込める。





何てことない幸せ
(ありきたりな事が、一番の幸せ)


* * *

以前プロポーズネタを書いた微妙な続編、新婚さんネタでした。
アルは好きな人にはひたすら甘けりゃ良いと思います。くそったまらない…!
そして読み返すと甘すぎて自分で砂糖吐きそうなくらい恥ずかしいです。だがそんな甘夢が好きだ(M乙

(10/07/24)



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