小指の魔法
忘れられない固有名詞
たったひとつの言葉でした
黒色だけじゃ恋はできない
プールの海
僕が大人になるために
君が大人になるたびに
右利き用のハサミ
三歩歩いて背を押して
六畳半の呼吸
図書室に隠しておくね
目に視える死
安っぽいチョコレートキス
愛せないなら殺してくれればいいのに
錆びた鍵では開けられない
どうか明日も晴れませんように
砕けた骨では歩けないの
星々の内緒話
ともだちになりたい
緊急回避予測不可能
ベランダで小さな相瀬
最後の予行演習
やさしい夢の終わらせ方
夢の魔法使い
かぼちゃの馬車で登校
白馬に跨って出勤
君の左目になりたい
だれにもあげたくないの
オレンジジュースみたいな恋
テキーラ・サンライズ
瞳に星を宿す人
わたしは月に恋をしている
暴発上等、ジャムれどかませ
ぜんぶを知った盲目のきみ
主人公の赤色を捧ぐ
愛を綴る落ちた人差し指
きっと来世はがんばるから
夜の帳がすべてを隠す
おやすみ小さな痛みたち
これがさいご
きっと明日は終わらない
ヤクザとデリカシー
いちで進んで、ななで戻って
折れたヒールで踊りましょう
祈って神の有無を知れ