あまりにもジュード先生が嫌々言うので、三度目の射精の後に彼の中にある玩具を抜いてあげる事に決めた。
二度目の射精の前に振動数を最大まで上げた玩具は今もなお彼の後孔の中で揺さぶりを続けるまま。
電源を切ってから抜けば良いのだが、早く抜いて欲しいと懇願するのでそのまま後蕾から伸びたコードを引いてあげた。
それで玩具は簡単に抜けて彼は長い快楽からようやく解放される――はずだったのだが。
「っぁあ、ぅぁん!はっ…んぅう!」
抜けない。ジュード先生は喘ぎ続ける。
彼の後蕾がローターを中に挿れたままきつく閉じているせいで、コードを引いても抜くことが出来ないのだ。
しかも解放されるどころか、入り口付近へと移動した玩具はますますジュード先生の感じやすい場所に当たっているらしい。面白いくらい白い身体が跳ねてシーツを乱す。
「…そんなに玩具が好きなの。大事そうに締め付けちゃって」
「ッひゃ!ちがっ!らめっ、嫌ぁああ!」
「はいはい、先生。力抜いて」
涙を流して悶えるジュード先生は嗜虐心をくすぐって仕方無い。
もっと玩具で乱れる姿を見たい気持ちはあるけれども、可愛くて愛しいジュード先生に嫌われたら元も子もない。
僕の指示にジュード先生は素直に従ってくれる。
最初こそ僕の言う事やる事すべてを拒絶していたが、媚薬で善すぎて苦しい身体を少しでも楽にしようと縋る想いで僕の言う事を聞くようになった。
熱い息を吐き出しながら先生はゆっくりと深呼吸する。頬は未だ桜色に火照り苦しそうだ。
呼吸の度に小さく蠢くように収縮する綺麗なピンク色の後蕾。程よく緩んだ隙にコードを引けば今度こそ玩具は抜けてくれた。
「ぁ…っ!」
振動を続けたままちゅぽんと抜けていった玩具にジュード先生の口から短い喘ぎが漏れた。抜ける感覚がまた善かったのだろう。
暫くぶりに外の空気へと触れた雫型の玩具は潤滑油やら腸液やらでぐちょぐちょに濡れている。
コード先のリモコンを操作し電源を切ると、動きを止めたその玩具から得体の知れない混ざり合った液体が滴り落ちた。
自らを刺激するものが無くなったジュード先生は乱れたシーツにぐったりと身を委ねている。
短時間に何度も射精を促されれば当然か。あんなに気持ち良さそうに解放していてもやはり体力の消耗は激しいらしい。
先生を快楽に呑み込ませる為の行為だったとはいえ少し可哀想な事をしたかもしれないと僕は少し後悔する。
「…先生。まだ身体変?」
「う…、はい…まだ、あついっ…」
僕の問いに先生はこくこくと頷き、救いを求めるような潤んだ瞳で僕を見上げてくる。
ああ、何て愛らしい仕草なんだろうか。原因なんてこの際気にならない程に、彼が僕を頼りにしてくれる事実が幸せだった。
今この場所で彼が頼れるのは僕しかいない。僕の中で生まれるのは庇護欲、愛護欲、そしてそれ以上に占める確かな――征服欲。
揺らめき続ける腰。玩具を失った空虚感に寂しげに収縮する後蕾。
僕の気遣いとは裏腹にジュード先生は無意識なりとも更なる刺激と快楽を求めているようで―――。
「――っ、先生ちょっと待ってて」
僕はベッドから少し離れた作業机へ向かい、乱雑に並べられた小瓶の数々からあるものを探した。
ここにあるものは全て僕が長い時間をかけ研究を重ねた快眠薬や催淫剤を調合する為の材料である。あの時ジュード先生に渡した特製ドリンクも僕のお手製だ。
これらの材料の購入の為の出費だって、研究に費やす時間だってジュード先生の為なら決して厭わない。全てはこの日の為だったのだから。
夢心地な気分で僕は目的の小瓶を机の上から取り上げた。
小さな小さなガラス瓶の中で揺れるのは薄い桃色がかかった透明な液体。蓋を外せば鼻腔をくすぐる仄かな甘い匂いがする。
原料は確か魔物の分泌液だったか。とにかく強い催淫作用を持つ液体として生物学界では有名らしい。ジュード先生も多分ご存知だろう。
「ジュード先生、お待たせ」
「ふぇ…?」
玩具ではない、新たに何かを携えてやって来た僕にジュード先生は不思議そうに僕の顔を見詰める。そう、期待してて良いんだよ。
片手で脚を掴んで、再び秘部を晒し上げる。後蕾からはまだ先程の潤滑油や腸液がいやらしく零れていた。
その慎ましやかな後蕾に蓋の空いた小瓶の入り口を押し当てる。ガラスの冷たさに蕾がきゅんと更に閉じてしまう。
「ひゃっ…、つめ、た…」
「我慢して」
「だ、だって…何して…―――ッぁうう!?」
ローターを詰めた時と同じように、閉じた蕾を無理やり小瓶の入り口でこじ開けて、そのまま捩じ込んだ。
ただし小瓶全てを挿れるのではなく、口の部分だけを後孔へと埋める。
「いやぁあっ…!中、つめたいの…はいっちゃうっ」
「…そんなに締め付けると瓶が割れちゃうよ」
「――ッひ…!」
小瓶から注がれていく液体の感触にジュード先生は嫌がり身を捩るけれど、反射的に後蕾で小瓶を締め付けているせいでそれは抜けない。
押し出そうと力を入れようとしたが、僕の忠告に彼は怯えた様子でそれを諦めた。いくら小型とはいえガラス瓶などそう簡単に割れる筈もないのに。僕は改めて征服感にぞくりと身を震わせた。
そして薄桃色がかかった透明の液体はとぷとぷと音をたてて、あっという間に全てジュード先生の中に入ってしまった。
空っぽになった瓶は少し強く引けば簡単に後孔から抜けてしまった。
「っふぁあ…何…いれた、の…?」
「内緒。でも先生がもっと気持ち良くなれるお水だよ」
「…! やだ…も、こんなの…!」
どうして?―――言いかけた言葉を呑み込む。これ以上の意地悪は嫌われてしまうかもしれない。
それにまだ子供な彼が快楽を素直に受け入れる事が出来ないのは明確で、問うまでも無い。
嫌だ嫌だとうわ言のように繰り返したところで、心を裏切るのは他の何でもない自身の身体だと彼は気付けないのだろうか?
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