ネタ帳 | ナノ
dieci
『アリア、追加晶術も使えたんだね』
「追加晶術?」
『僕も詳しい事は知らないんですが…かつてソーディアンを発明した人が使っていたんです』

小さな少女が発動した晶術に、凄い、と感嘆の声を漏らしていた剣が、その晶術について簡単に説明した。
特定の晶術を使用した後、その晶力から展開して発動出来る晶術、でしたっけ。
思い出すように呟き、その後何か別の事も一緒に思い出したのか突然悲鳴を上げだした。うるさい。

「でももうあまり使いたくは無いな」
『え、どうして!?凄い力だったのに!!』
「だからだ剣」
『剣!?名前ですらない!?』

おう、つい心の中での呼称が。
仕方ない。だって剣だし。何処からどう見ても剣だし。

「こんなの使いまくってたら死ぬ。廃人になる」
『は、はははは廃人!!?』
「進んで使う奴がいたらそれはあれだな。まぞだ」

これ程までとは、思わなかった。
身に余る力だ。私にはまだ早かった。
ああ、これを後五回もやらなくてはいけないのか。

「……だるい。疲れた。坊っちゃんぐみぷりーず」
「その呼び方は止めろ」
「坊っちゃーんぅぶす」

とうとう耐えきれず、もす、と草に全身を突っ伏した。
おおおお、これは、疲労が溜まって動けぬ。

「ぼっちゃ、へるみ、ぷみー」
「…ああくそっ、何て面倒な奴なんだお前は!…ほら、さっさと食べろ」
「んむぐ」

口に押し付けられた、何かが詰まった袋。
開けると、中には橙色のぷにぷにが入っていた。
グミで体力回復しろと。なんて鬼畜な坊ちゃんだ。

ああ、そういえば此処には何故か傷の直りが良くなるグミがあるんだった。
きっとこれも似たような効果があるのだろう。

数粒掴んで口に放り込む。
蜜柑味。前食べた林檎の方が好きなのだが。
疲労感が若干薄れていくのに気付いて、黙って咀嚼した。

もぐもぐもぐ。

こっちの医療技術はあっちのものよりも優れているようだ。
やはり日常的に命の危険があると違うのだろうか。

もぐもぐもぐもぐ。

「食べたら行くぞ」
「うぃ、坊っちゃりおん」
「混ぜるな!」
『何か可愛いですねー坊っちゃりおんてあ痛たたたた止めて!!止めて下さい坊っちゃんんんん!!』

うむ。相変わらずこの一人と一本は仲良しである。

もぐもぐ、ごくん。

飲み込んで、体の調子を確認。
お、立てる立てる。よし行こう。
何やら騒いでいる両者を邪魔しないよう先に行っていたら、後から来た少年に怒られた。
何故。食べたら行くぞと言ったのは少年だと言うのに。

「良いか、よく聞け」
「あ、蜂」
「……っっ、」
『おおおお押さえて坊っちゃん押さえて!!!!』
「ふりーずはんたー」
『わあああまた何か凄いの出たああああ』

結局この後、三、四回程地面に突っ伏す事になる。
より強い晶術を使えるようになるまで、道程は長そうである。


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