ネタ帳 | ナノ
五話
いよっし、早速イベント開始しよっか。

「や」
「…………」

言葉を掛けても無反応。つまらなそうな無表情。瞳は一転して無機質。
あーあ、禊ちゃんめ。やっちまったな!
まあ禊ちゃんのお陰であの幼馴染と出会えるんだろうけどさあ。

「あーっとさあ、わたしねえ、さっきののいもうとなんだよ」
「…………」
「おおかた、みそぎちゃんに

『人間は無意味に生まれて』『無関係に生きて』『無価値に死ぬに決まってる』『世界には目標なんて無くて』『人生には目的なんて無い』

なーんていわれたのきにしてるんでしょ」

途端にはっとしてこっちを見る女の子。
あは、そっくりに出来たかな?禊ちゃんのもっのまねえー!

「まあぶっちゃけそれってみそぎちゃんのいってることだし、あんまきにしないほうがいんじゃね」
「……なら、お前はどう思う。私は何の為に生まれてきた?」
「んなのわたしがしるわけねーじゃん。ひとのうまれたいみなんてひとそれぞれなんだしさあ」

っと、これはこの子の幼馴染が言うべき台詞だったね。
にしても、禊ちゃんの時と違って沢山喋らなくちゃいけないのがきついなあ。禊ちゃん相手なら二言程度で終わるのに。

「ああうん、まああれだよ。ひまなときにでもたくじしついってみなよ。きみのうまれたいみをおしえてくれる、きみのたいせつなたいせつなおとこのこがいるぜ」
「……?そうか、覚えておこう」
「うむ」

ふむ。主人公と話せただけで私は満足じゃあ。
これぞトリップの醍醐味だよねえ。あや、私は転生か。

「ところで、一応念の為聞いておきたいのだが、貴様は生まれた意味は人それぞれだと言ったな」
「うんまあ」
「なら、貴様の生まれた意味は知っているのか?」
「んーと、まあ、こんなもんじゃないのかなーってのは」
「ならば参考までに教えてくれ」
「や、いいけど」

何でそんなにぐいぐい突っ込んでくるの。この頃の主人公って無気力主人公でしょ。
あちゃあ、しまった。やっぱり私の台詞が墓穴掘ったか。
いくら原作キャラと話したかったとは言え、あくまでモブとかの位置で原作を楽しみたかったのに。
まあ良っか。うん。どっちにしろ楽しめば良いんだし、そう言う事にしとこう。

「んとまあ、わたしとしては?

人間は普通に生まれて、普通に生きて、普通に死ぬのかもしれない。世界には目標が、人生には目的が、ある時はあるし無い時は無い。

っていうのがそれかなあ」

禊ちゃん風に言うと。
いや本当、てっきとーうに考えたんだけどねー。

「普通?ある時とは?」
「ほら、ごはんがたべたいとか、おかねがほしいとか、そういうそのひそのひによってかんたんにかわっちゃうようなよっきゅうだよ。けっきょくひとは、それでいきてるん、だから、さ」

あー、もう無理。そろそろ喋るの疲れてきた。読む方も疲れるってこれ。
疲労から俯いていると、私の名前が呼ばれた。
五番検査室。絶対禊ちゃんの仕業だ。

「ん、じゃあね、めだかちゃん」

最後にそう言って、私はその場を後にした。
いやあ、主人公とちょっと話せただけでも、ほくほくなり。


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