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迎えた最終回、御幸がついに出塁しノーアウトランナー二塁。続く降谷くんの犠牲フライで御幸が三塁へ。
しかし、成宮くんの渾身の守備で得点ならず、最終回は追加点をあげることなく交代。
あと、アウト3つで、甲子園。
たったの、アウト3つで。
小湊くんのファイプレーにより、1アウト。
あと、2つ。
しかしここで打順は1番へ。厄介なバッターが続く。
神谷くんが放ったボールは、レフトへ飛んだものの坂井先輩が気迫でとり、ツーアウト。
あと、アウト1つ。
「デッ…デッドボール!!」
栄純がデッドボールを出してしまい、代わりに神谷くんが代走。そしてピッチャーはノリへ。
しかしバッターはしっかり見極めフォアボールで出塁。2アウトながらもランナー一・二塁。
ここでタイムをとった選手たち。なにやら内野が集まっているけど…
「見てなまえ、みんなで丹波さんの頭触ってる」
『…あ、ほんとだ」
こんなときまで…。いやでも、丹波さんの頭が役に立った。あ、増子さんも触らせてるし。
「あれなら、大丈夫そうね」
そう、あとアウト1つなんだ。大丈夫。彼らなら、やってくれる。
しかし、迎えるのは稲実の主砲4番原田さん。渾身の一球を放ち、一・二塁へ。
春市くんがなんとか止めたものの、その送球は乱れ、倉持も必死でくらいついたもののセーフ。
「バッ…」
「バックホーム!!!」
「カルロス!!!」
その間に、ホームめがけて走り出した神谷くんに対し、
「御幸ーー!!!!」
倉持が、その御幸の名を叫びながら、ホームへ送球。
「ホームイン!!同点ー!!!」
それも届かず、ついに同点へ。
そして続く成宮くんが放ったタイムリーにより、
「西東京118校の頂点に立ったのは稲城実業高校ー!!!」
「あとアウト1つ届きませんでした!」
西東京大会決勝
青道-稲実 4-5X
優勝
稲城実業高等学校
名門復活を懸けた夏
青道高校 予選敗退。
アウト1つ、届かなかった夢。
夏蝶の翅が透かす光
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