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「全国高校野球選手権大会 西東京地区予選決勝」
そして迎えた7月31日、決勝戦当日。
夏本番であることを証明するかのような快晴だ。気温もぐんぐん上がっている。
両校の選手が勢いよくスタンドから飛び出し、挨拶。それが終わればすぐに試合開始。
先攻は青道、後攻が稲実だ。
青道打線は、成宮くん相手にどこまで通用するのか。
「1回表青道高校の攻撃 1番ショート倉持君」
倉持のヒッティングマーチが流れだす。この曲が流れると、あぁ始まるんだなっていつも思う。
『あれ、左打席…』
少しでも一塁に近い方を選んだのかな。
倉持が塁に出れば、その得点率はグンと上がる。がんばれ倉持。
そしてボールを見極め、フォアボールで出塁。
「よっしゃ!」
『倉持ナイス!』
スタンドも、倉持の出塁に大きく湧く。
そして続く2番、小湊先輩。普通に出てるから大丈夫かとは思うけど…やっぱり心配だ。
「スチール!」
倉持が、初球から単独スチール。そのまま2塁まで駆け出すも、キャッチャーもそれに反応し、2塁へ送球。
「セーフ!」
「盗塁成功ー!!な…なんという俊足!」
やっぱり倉持は塁に出て輝く。それにしてもよくセーフにできるなあ。
小湊先輩がそのままバントを決め、ランナー三塁。そして迎えたクリーンナップ。
『純さんお願いしますー!』
「純さーん!!!」
初球から打ち上げた…と思えば、内野が前進していたため、セカンドとセンターのちょうど真ん中にそれは落ちた。
「青道高校先制ー!!」
「きゃー!!やった!!」
「貴子さ〜ん!!」
「よっしゃー!」
『先制ー!』
1点先制したものの、スリーアウトで交代。
こちらの先発は降谷くんだ。ストレートゾーンに入っているし、今日の降谷くんは調子よさそうだ。
そして三者連続三振を決め、1回が終わった。
文句無しの立ち上がりだ。これを、どう継続させるか。
3回を終えて、未だ1-0。
キャプテンに対してだけ、三振をとりにきている成宮くんのピッチングは、まさに青道のベンチに最もプレッシャーがかかるものだ。
試合は次の4回から動いた。
神谷くんが出塁し、迎えた4番、原田さんがタイムリーを放ち同点。さらに成宮くんもヒットを打ち、追加点をあげた。
5回裏、ピッチャー交代でエース丹波さんが登板。
…丹波さん…なんとかおさえてください…!
しかし、丹波さんの球はなかなか軌道に乗らず、ついにホームランを打たれてしまう。その後もフォアボール、デッドボールを出したものの、気迫で乗り切りなんとか1点に抑えた。
5回を終了し、わたしたち青道は2点のビハインド。勝者の決まる最終回まで、残り4回。